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プレスリリース「新日本科学との共同研究に関するお知らせ-新規脳梗塞治療薬の開発について-」

  国立大学法人長崎大学(以下「長崎大学」)と株式会社新日本科学(本社:東京都中央区、以下「新日本科学」)は3 月7 日、「脳保護作用を有する新規活性ペプチドの脳梗塞治療薬としての開発」について、共同研究契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。
  脳梗塞は、先進諸国の死因の上位に位置する重要な疾患であり、その後遺症である運動障害は深刻で寝たきりの主因となることが知られています。現在、治療薬の選択肢は少なく、第一選択薬である血栓溶解剤「t-PA(tissue plasminogen activator)」は、超急性期における処置で脳の梗塞巣をほぼ消失させることから有用ではあるものの、副作用として脳出血を誘発する可能性が高いために、投与にはMR/CT の画像診断を必要とし、発症後4.5時間以内の適用(保険適用の場合)に限定されるという臨床的な課題があります。
  長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の植田弘師教授(分子薬理学)は、長年の基礎研究の結果、強力な脳保護作用を有する活性ペプチドを発見しました。当該活性ペプチドの研究は、昨年、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援事業(A-STEP)の創薬分野の課題(『革新的な脳梗塞治療薬のプロトタイプ創出』)に採択され、長崎大学と新日本科学は新規な脳梗塞治療薬開発に向けた共同研究を実施いたしました。その結果、ペプチドの修飾・改変により、生体内での安定性が高く、かつ、単独投与により有効性が認められる新規ペプチドの探索に成功しました。さらに、この新規ペプチドを用いた非臨床試験の結果から「t-PA」誘発性の副作用である運動障害の悪化と脳出血を、いずれも用量依存的に有意に抑制する効果があることを見出しました。
  これの結果を受けて、今回、長崎大学と新日本科学は新たに共同研究契約を結び、当該新規ペプチドを基盤として、更なる構造最適化や生体内での作用機序の解明を進めるとともに、有効性の評価や臨床応用に必要な安全性試験を実施し、その知財を製薬企業に導出する準備にとりかかります。

【お問い合わせ】

医歯薬学総合研究科 生命薬科学専攻 分子創薬科学講座 分子薬理学
植田 弘師 TEL: 095-819-2421
広報戦略本部 TEL: 095-819-2007

株式会社新日本科学 社長室  知的財産部(増田、山下)
TEL:03−5565−6148