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医学部長に就任して 医学部長 松山俊文

医学部長に就任して

医学部長 松山 俊文

医学部長
松山 俊文

長崎大学医学部は医学科と保健学科による組織で「医学を学ぶ」,「科学を学ぶ」,「人間を学ぶ」を合言葉に未来の医療を担う医師,看護師,理学療法士,作業療法士を育成することを目標としています。
昨今では,全国の多くの大学の医学部で,卒業生の定着率の低下に端を発する地域医療の崩壊が大きな問題となっています。これは2007 年に150 周年を迎えた本医学部でも例外ではありません。ここ長崎は,全国で最も多くの離島,へき地を有するところで,地域医療を担う人材の不足は深刻であり,拠点となる公立病院等への医師の集約化を行うという,苦渋の選択をせざるをえない状況であります。
そしてもう一つ目立たない形ながら静かに進行しているのは,基礎医学研究体制の崩壊です。ここ数年の間に基礎医学系研究室においてリサーチに携わる若手の医学部出身研究者の数が激減し,深刻な問題になっています。基礎医学研究体制の衰退は近い将来の臨床医学の衰退にもつながるものですから,少しでも早い時点で食止める必要があります。私はこの二つの問題の解決のためにあらゆる努力をしていく所存です。
その解決策の一つとして重視したいのは環境作りです。一つは学習する環境,二つ目は先輩たちの働く環境です。学習する環境として場所や設備の整備とともに学生たちの学ぶ意欲を育むために,先生方には積極的に対話を通しての教育を行っていただくことを希望します。そして効率的なカリキュラムの立案と実施のために,先端医育支援センターを中心とした開かれた教育支援体制の強化を計画しています。一方で,すでに働いている先輩たちは,学生にとって自分の将来を反映するロールモデルになりますから,先輩たちが生き生きと働ける環境作りが鍵になると考えます。特に女性医師や看護師たちは,妊娠,子育てによる現状から止むを得ない離脱という局面があります。これをどのような体制でサポートしていくかについては,病院,大学本部,更には行政の方々と,可能な限り議論を尽くし,新たな方向性を探っていくつもりです。幸い長崎の地は海外からの新たな文化を積極的に取り入れてきたという歴史があります。このような背景をもつ本学だからこそ,他ではできない新しい取り組みができると信じています。
今後とも皆様からの御支援を宜しくお願いいたします。