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遺伝子治療の実現に向けた新たな遺伝子導入技術(ナノボール)の開発

病院薬剤部の佐々木均教授と黒崎友亮COE研究員らの研究グループは,自己組織化技術を応用することで,安全かつ効率的に遺伝子医薬品を標的臓器や標的細胞へ送り込む事ができる,新たな遺伝子導入技術の開発に成功しつつある。

これまでの遺伝子治療には,ウイルスや正電荷化合物を用いた遺伝子導入技術が用いられてきた。しかし,ウイルスを用いた遺伝子導入によって,致命的な副作用を引き起こす事例が報告された。一方,正電荷化合物は細胞障害性が高く,生体に投与すると塞栓症や炎症など,重篤な副作用の原因となる事が知られている。このように,遺伝子治療の臨床への応用は非常に困難であった。

佐々木教授らの研究グループは,遺伝子医薬品を数種の物質と自己組織化させることによって安定な微粒子(ナノボール)とし,細胞内へ取り込ませる新規技術を開発した。また,各種成分の組み合わせを工夫することにより,細胞選択性や臓器選択性を持たせることに成功している。1例として,ワクチン遺伝子を内包した脾臓選択性のナノボールは,微量で効果の高いDNAワクチンとして期待されている。

この研究結果は,Biomaterials, Journal of Controlled Releaseなどの有名学術雑誌に掲載され,遺伝子導入技術開発の最先端として高い評価を得るとともに,黒崎友亮COE研究員は日本薬剤学会「Postdoctoral Presentation Award」を受賞した。

詳しくは以下のホームページを参照のこと 
Journal of Controlled Release(2010年4月発行)掲載論文
Biomaterials(2009年9月発行)掲載論文
Journal of Controlled Release(2009年6月発行)掲載論文
Biomaterials(2009年5月発行)掲載論文
Postdoctoral Presentation Award