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「ヌクレオチド除去修復機構(NER)」における修復DNA合成の分子メカニズムを解明

大学院医歯薬学総合研究科の荻朋男テニュアトラック助教とサセックス大学ゲノムセンター(英国),ライデン大学メディカルセンター(オランダ),東京医 科歯科大学難治疾患研究所,エラスムスメディカルセンター(オランダ)の研究グループは,紫外線DNA損傷の主要な修復機構である「ヌクレオチド除去修復 機構(NER)」における修復DNA合成の分子メカニズムを解明した。

NERの欠損は,ヒトにおいては日光過敏症および皮膚がんを好発する色素性乾皮症の原因となる。NERの修復DNA合成は,損傷を受けたDNAが取り除 かれた後に,鋳型鎖に基づいて元の遺伝情報を復元する。これまで,この過程には複製精度の高いDNA合成酵素(DNA polymerase)が使用されると考えられてきた。

今回研究グループは,ヒト初代培養細胞を用いて修復DNA合成を定量する手法を開発し,siRNA遺伝子発現抑制法,局所DNA損傷誘発/蛋白質局在解 析法等を併用することで修復DNA合成に関与する新規因子を複数同定し,その作用機序を解析した。これにより,NERの修復DNA合成は,複製精度の低い DNA polymerase κを含む,3種類のDNA合成酵素(polδ,ε,κ)により行われていることが示された。これらのDNA合成酵素は,酵素毎に異なる因子によりDNA損 傷箇所へ導入されることが示され,NERの修復DNA合成は既存の理解よりも複雑であることが明らかにされた。

本研究の成果は,「Molecular Cell」2010年3月12日号に掲載された。
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