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胃がんにおける新規がん抑制メカニズムの発見:胃癌診断基準としての応用に期待

大学院医歯薬学総合研究科の伊藤公成テニュアトラック助教とシンガポール国立大学のグループは,消化器がんにおける「がん抑制遺伝子」として知られる転 写因子RUNX3のターゲット遺伝子として,細胞接着因子Claudin-1(タイトジャンクションを形成する主要因子)を同定した。「Claudin- 1はがん遺伝子か,がん抑制遺伝子か?」が長く議論されてきたが,研究グループは,ヒト胃がん細胞とマウスモデルを用いた解析と,ヒト胃がん臨床検体によ る検証を通して, RUNX3がClaudin-1の転写を直接活性化することを見出し,Claudin-1そのものも胃がんにおいて「がん抑制遺伝子」として機能すること を明らかにした。本研究の成果は,消化管生物学および消化器内科学の分野で最も権威のある「Gastroenterology」2010年1月号 に掲載された。

細胞膜表面タンパクであるClaudin-1は,免疫組織染色等に利用しやすく,早期胃がんの確定診断への応用(診断マーカーとしての応用)が十分に可 能である。報告によれば,Claudin-1とRUNX3の不活性化の検出で,ヒト胃がんの70%以上をカバーする。さらに今後,胃がんの治療をめざし, これらの因子を活性化する薬剤の開発も期待される。

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