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海洋温暖化と酸性化が生態系に与える影響の解明

長崎大学環東シナ海海洋環境資源研究センター石松 惇教授と栗原晴子プロジェクト研究員(現琉球大学テニュアトラック助教)らの研究グループは,二酸化炭素増加による海水温の上昇と二酸化炭素が溶解してお こる海水の酸性化が種々の海洋生物に与える影響を明らかにしつつある。海洋の酸性化はすでに進行中であり,産業革命以降,世界の平均海水pHは0.1低下 したと考えられている。

石松教授らの研究によって,日本沿岸に広く分布するイソスジエビは今世紀末に予想される酸性環境下では,30週間後に約半数が死亡し,産卵にも強い負の 影響がおよぶこと,バフンウニを用いた実験では,9ヵ月の飼育によって酸性海水中では産卵が約1ヵ月遅れること,酸性海水の水温を2℃上昇させると卵巣の 成熟が強く抑制されること,また二枚貝(マガキ・ムラサキイガイ)では,初期発生における形態異常の個体が激増すること,などが明らかになった。これらの 知見は今世紀中に起こる海洋環境の変化が生態系および食料生産に大きな影響を与える可能性を指摘している。

石松教授らの研究結果はMEPS, Aquat. Biol., J. Exp. Mar. Biol. Ecol.などの学術雑誌に発表され,海洋酸性化の生物影響研究の最先端として高い評価を得ている。

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