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東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(10)こけしと復興の願い

2018年04月30日

   原発事故から7年が経過しましたが、今なお避難生活を余儀なくされている被災住民の方々の苦労も如何ばかりかと拝察されます。震災直後、地震の影響で福島市の土湯温泉街も大きな影響を受けましたが、新たな取組みで明るさを取り戻しつつあります。
   東北の温泉街で有名なものに「こけし」があります。その三大発祥地が遠苅田、鳴子、そして土湯です。冬の寒さと厳しい農作業が、農民の湯治の習慣を生み、木地師による子供達へのお土産としてこけしが作られるようになったと言われています。土湯温泉に近い西田記念館では、東北地方それぞれの土地特有の形や模様のこけしが11系統に分類され紹介されています。伝統こけしの振興に尽くした島根県出身の西田峯吉氏の熱い思いと心の郷愁が学べるこの記念館は、東邦銀行教育・文化財団により管理運営されています。
   いま、記念館では異色の表情である「たこ坊主」の愛称をもつ「中ノ沢系」こけし展が開催されています。創始者の岩本善吉氏は「逆さ踊り」が得意で、その系譜は、こけしの目に歌舞伎のくまどりに似た特徴があります。伝統こけしに独創性を取り入れ、今では土湯系から独立分離して12番目の新たな系統分類が提唱されています。