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伊東昌子教授

ワークライフバランスは、
私の新しい研究テーマです

副学長 ダイバーシティ推進センター長
大学病院メディカル・ワークライフバランスセンター長

伊東 昌子 教授

女性が働きやすい大学、医療現場の実現をめざす

 「新規採用する教員の3割以上を女性研究者に」。
 長崎大学が掲げている目標である。ダイバーシティ推進センター長である伊東昌子教授は、この数値目標達成に向け精力的に動いている。
「2014年度は目標を達成できました。最初の一歩を踏み出せたら、期待以上の成果を出す女性研究者はたくさんいます」。
 もう一つ。伊東教授がセンター長として関わっているのが「メディカル・ワークライフバランスセンター」。長崎県内の医師を対象に、出産や育児、介護と向き合いながらも仕事を継続できるよう、キャリア形成をサポートする目的で2012年度に設立された。長崎県の委託を受けており、当初は女性医師の就労支援から始まったが、今では男女にかかわらず医療従事者全体のサポートを目指している。
「県の医師会と連携した保育サポートシステム、出産後の復職のためのトレーニングなど、さまざまなアプローチを行っています。今後は仕事と介護の両立が課題です」。
 出産や育児で一線を退いても仕事を継続し、家族との時間を大切にしながら、いずれまたフルタイムでの就労もめざす。そのような働き方をあたりまえに選択するためには、どんなサポートが功を奏すのか。次の世代をどう育成していけばいいのか。センターの活動が注目されている。
 研究者としての仕事と並行して、管理職としてもいくつもの仕事をこなす伊東教授。しかし、これらは、共通点があると語る。
「一般的に、女性研究者が管理職に尻込みするのは、マネジメント力に自信がないことが多いようです。実際、新しい事業を始めるときは、組織全体をマネジメントする力が必要。誰に何をまかせるか、どこまで達成させるかなど、全体のバランスをよく見極めながら進めないといけません。ところが考えてみると、そういう目配りや判断は、研究でも常に行っていることなんです。研究で培った能力が管理職としての仕事にも応用できるのではないかと、私自身がチャレンジしているところです」。
 伊東教授の専門分野は、放射線医学。特に、骨粗鬆症における骨構造特性の解析と、骨強度の関係を解明する研究を長年続けている。現在は、他大学との共同研究のなかで、骨粗鬆症のラットに骨脆弱性を改善させる治療薬を投与し、骨の強度を画像から読み取って評価する仕事も行っている。

仕事と家庭のバランスが生み出すシナジー効果

写真  「医学の研究は、目標に達する手段として十分だろうかなどの不安と闘いつつ、やってみなければわからないという世界。時間とコストとマンパワーのバランスをとりつつ最大効率を考える場面で、これまでの経験が大いに役に立ちます。失敗や挫折も無駄ではありません」。
 振り返ってそう語れるのは、辛いときに家族が支えてくれたからこそという。ワークライフバランスは、単に仕事とプライベートの割合や均衡だけをテーマにしているのではない。「仕事がうまくいくと私生活も楽しく、私生活が充実すると、その良い影響が仕事へも及ぶという、シナジーを狙った考え方なのです」と話す。
 多様化が進み、ますます複雑になる社会に柔軟に対応するために。ワークライフバランスは、伊東教授自身にとっても新しい研究テーマなのである。



【専門】放射線医学 骨粗鬆症

いとうまさこ
長崎大学医学部卒。医学博士。長崎大学医学部放射線科に入局後、准教授を経て2012年より現職。専門領域 放射線医学、骨粗鬆症、ワークライフバランス。日本骨形態計測学会 学会賞など受賞多数。日本骨形態計測学会理事長はじめ多くの学会理事も兼務。



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