ホーム > 研究活動・産学官連携 > 研究者情報 > 研究者クローズアップ > 長崎大学の研究者06

ここから本文です。

魏 秀欽 准教授

エネルギー環境問題の克服へ。
小型・高効率電源回路の
開発をめざす

工学研究科 TDK共同研究講座
魏 秀欽 准教授

高効率電源の設計理論の妥当性を実証する

 2014年11月に長崎大学工学研究科TDK共同研究講座に着任した魏秀欽准教授は、パワーエレクトロニクス分野のエキスパート。30代とまだ若いが、すでに数多くの論文を国際ジャーナル誌で発表している。専門とするのは高効率高周波スイッチング回路の設計と開発だ。
「様々なエネルギーは最終的に、使い勝手のよい電気に変換されて利用されることが多く、電気を有効利用するためには、電子機器の省エネルギー化が欠かせません。半導体素子のオン/オフにより電圧の制御を行い、希望する電気の「形」への変換を担うスイッチング電源回路はほとんどの電子機器に含まれており、電源回路の高効率化はエネルギーの有効利用のためのキーテクノロジーと考えられます」。
 携帯電話などの情報端末はもちろん、家電や照明機器でも、電気使用量を削減することが求められている。また、太陽光や風力など自然エネルギーを有効活用するうえでも、エネルギーマネジメントに用いられる電源回路の高効率化は極めて重要である。
「身近な例で言えば携帯電話。バッテリーを長持ちさせるために、いかに損失を低減させるか、つまり高効率化が重要です。また、高効率化が実現できれば、エネルギーの無駄を削減するだけでなく、大量の発熱を逃すための放熱設備が不要となり、その結果、回路全体の小型化も併せて達成されます。私は高周波高効率スイッチング電源回路の設計および開発のための基礎理論の構築に軸足を置き、それらの理論を検証するため、シミュレーションや回路実験を行っています」。

写真

 今、市場は電子機器の小型軽量化と応答速度の向上を求めている。小型化には、スイッチング電源回路の動作周波数の高周波化が有効だが、動作周波数を高くするとスイッチング損失も多くなり、低効率化を招く。高周波化・高効率化を両立できる技術として、E級スイッチングが注目されているが、このスイッチング技術を用いた電源回路はスイッチに大きいピーク電圧が現れるという問題が存在する。そこで、魏准教授は低ピークスイッチ電圧で高周波・高効率を実現できる、新たなスイッチング電源回路の理論構築に取り組んでいる。
「研究は、うまくいかなく辛いときもあります。失敗を重ねても諦めずに続けて、最後に結果が出たときの喜びは何より大きいです」。この研究を通じ、エネルギー環境問題に少しでも貢献できればと願っている。


中国と日本の架け橋になるような存在感のある教育者・研究者を目指して

 中国福建省の出身。2008年に千葉大学大学院融合科学研究科博士後期課程に進学した魏准教授は、博士取得後、大学教員の道へ進んだ。
「学生時代に所属した研究室の指導教員のように、研究を通じて次の世代を担う学生を育てたいという憧れの気持ちを強く持ち、大学教員になりたいと思いました。中国と日本で勉強、研究を行った経験を学生に伝え、技術の側面だけでなく、国際化の重要性を日本の学生にも感じてもらいたい。また、最先端の技術力を持つことにより、中国や日本、諸外国との研究交流を活発化し、さらに人材交流も積極的に行えるようになることが私の目標です。自分自身もさらに研鑽し、目標を達成できるように努力していきたいと思っています」。
 目下の課題は日本語の会話力アップ。将来は「中国と日本の架け橋になるような、存在感のある教育者・研究者になりたい」と魏准教授は夢を語る。





【専門】パワーエレクトロニクス分野

ぎしゅうきん
中国福建省出身。2008年に千葉大学大学院融合科学研究科博士後期課程に進学、2012年に博士号取得。2012年4月に福岡大学工学部電子情報工学科助教として赴任。2014年11月から現職。



←第5回へ 一覧に戻る 第7回へ→