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本間季里 准教授

臨床医学から基礎研究、
そして大学院教育へ

医歯薬学総合研究科 リーディング大学院
本間 季里 准教授

40歳を目前にして基礎研究へ 感染をコントロールする因子を探る

  千葉大学医学部附属病院で小児科医として長い臨床経験を持つ本間季里准教授は、実験の面白さをきっかけに、研究者への扉を開いた。
「私は一生、患者さんを診て過ごすと思っていました。小児科医として3年目に小児免疫アレルギーを専門としましたが、そこで実験を教わり、卵アレルギーを引き起こす蛋白質の特定の部位を同定しました。問題を自分で発見し解決する、その過程が面白かった。臨床医として働きながら夜なべして実験をするうち、次第に研究職に魅かれていきました」。
 40歳を前にして、「基礎研究を思う存分やりたい」という願望と、「自分にやっていけるのか?」という迷い。
「でも、10年後に50歳になって、『私がやりたかった人生ってこうじゃなかったのよ』って言ったって後の祭りですよ。それでおずおずと、臨床から基礎研究に移りたいと。口に出した以上は、あとには退けない(笑)。しかし、実際にやり始めてわかったのは、本当に地道にコツコツと努力する世界でした。基礎研究とは、レンガを1枚ずつ積み上げるような作業を繰り返し、実験データで人を納得させること。パッと閃いて、ガーッと書いて新発見はありえません」。
 本間准教授の専門は感染免疫学。
「免疫反応の中心的な役割を果たすのが樹状細胞(哺乳類の免疫の一部を担う免疫細胞の一種)です。当時、樹状細胞の分化における、ある遺伝子の役割を共同研究で明らかにしていました。それが、インターフェロン制御因子4(IRF-4)という転写因子(遺伝子の転写を制御する因子)でした。樹状細胞は自然免疫系の細胞なので、自然免疫系を刺激する目的で、細菌の成分をIRF-4の遺伝子を欠損したマウスに打ってみたのです。すると、IRF-4をなくした遺伝子欠損マウスはバタバタ死んでいくのに、その遺伝子を持っている通常マウスはケロッとしている」。
 IRF-4は免疫反応に重要なのではないか。どんな免疫反応にどう関わっているのか。本間准教授は関係性を明らかにしてきた。
「IRF-4のように、ある因子がある病気の感染をコントロールするうえで重要だということがわかれば、その働きを調節することで治療に応用できます。実現までには解決しなげればいけない課題はまだまだたくさんありますが、他の人が見つけられなかったものを自分が発見する、その喜びが研究を推進する動力になります」。


リーディングプログラムでわかった教育と研究の共通点

写真 「世界で活躍するリーダー養成のため、文部科学省は、いま大学院改革を進めている。それが「博士課程教育リーディングプログラム」事業。長崎大学の「熱帯病・新興感染症制御グローバルリーダー育成プログラム」も、全国から申請された327件の中から採択された63件のうちの一つ。2012年から始まり、本間准教授も講義全体を構築していく役割を担っている。
「国籍も専門領域も違う学生たちがともに学ぶなかで、さまざまな切り口や捉え方があること、多様な見方や考え方を認めていく思考パターンを自然に身につけていきます」。
 初めての試みだけに、試行錯誤の繰り返し。しかし、そのなかでの課題を発見し解決していく過程は、教育も研究もよく似ていることに気づいたと本間准教授。研究で培ったねばりを、教育でも生かしている。





【専門】感染免疫学 小児科学

ほんまきり
筑波大学医学専門学群卒業。千葉大学病院小児科に入局。1995年医学博士取得。アメリカNIH留学後、日本医科大学微生物学免疫学教室助手を経て1999年に長崎大学へ。2012年11月より現職。



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