長崎大学での4年間で
やりたかったことを制覇!

水産学部 卒業生 Interview

松浦 栄人 さん

長崎大学での4年間、どうでしたか?

今は、卒業研究をやり終えて「やり切った」との思いが強いです。振り返ると、入学当初は長崎のことを全く知らなかったので、すべてがワクワクでしたね。すぐに水産学部同期全員と仲良くなれたことが、学生生活を充実できた一因だと思います。サークル活動では魚料理研究会に入って、料理が上手になったし、長崎魚市場や鮮魚店の方と親しくなったりと学外での出会いがありました。また、工学部の教授にご指導を受ける機会があり、ドローン操作を勉強しました。その技術を使って3年生の頃に、空撮の会社を立ち上げました。その他、長崎県で毎年開催されている海洋教育フォーラムの運営も担当しました。「4年間でやりたいことはやった!」と満足しています。

附属練習船長崎丸での乗船実習の様子

魚料理研究会でイサキを捌く松浦さん。魚料理研究会の紹介記事は画像をClick

     

水産学部はみんな仲良しなんですね

僕の学年では入学直後に宿泊での親睦イベントがありました。学年全員で約120人いるのですが、全員と話すことができて、みんな仲良くなりました。その後、乗船実習などの共同生活もあるので、さらに関係が深くなります。先輩後輩の仲も良いですよ。水産学部学友会が主催で、バスケットやバレーボールなどのレクレーションがあって、学部生はもちろん先生との交流の場を作ってくれます。学部全体で「チーム水産」というまとまった雰囲気があり、色々な機会、色々な形で協力し合える仲間に恵まれました。

※科目、実習内容は年度毎のカリキュラムによって異なります。

3年次の乗船実習で。自由時間に同期メンバーと厳原を散策

海洋教育フォーラムの運営でもチーム水産の結束が光っていました

     

水産を学ぶのに長崎はどんな場所?

恵まれた環境だと思います。長崎県は漁獲できる魚種は全国1位で、出会える魚の種類が圧倒的に多いので、それだけ色々な魚を見ることができるし、研究対象として範囲が広いです。その魅力を満喫しました。魚料理研究会でも扱う魚はバラエティ豊かだったし、県内の水産業に関わる人たちの魚への想いもとても熱いのを感じました。

また、長崎大学の環境も充実していました。2隻の附属練習船を利用した乗船実習は、イカ釣り実習や水産加工実習(天候が良ければトロール漁業実習もあります)など、とにかく楽しかったです。3年次の夏には、環東シナ海環境資源研究センターでの臨海実習があり、生きた生物材料を使った実習を経験しました。海が身近にある環境だからこそできる学びがたくさんありました。

海洋生物科学実験での様子

乗船実習の自由時間で釣りを楽しむ様子。乗船実習のレポート記事は画像をClick

     

工学部の先生からも指導を受けたの?

はい。自分から動くことで他学部の先生とも繋がるし、世界は広がります。2年生の頃、長崎大学海洋未来イノベーション機構(水産学部、工学部、環境科学部が合同で進めている事業)で海洋の未来を考える会議があり、参加しました。そこに、ロボット開発で有名な山本郁夫先生も登壇されたんです。僕は中学時代にロボコンに出場するなどロボットにも興味があったので個別に話を聞きに行ったところ、研究室でドローン操作の指導を受けるようになり、作業を任されるようになったんです。

山本先生が手がける事業で、対馬の海洋ゴミ問題調査に関わったこともあります。当然、工学部は水産学部と実験フィールドが違うので、様々な人と出会い、色々な考え方に触れることができ、刺激を受けました。その時に調査業務のコンペに向けた企画を作った経験から、社会のニーズを踏まえて物事を考えるようになったし、熱中できる世界を見つけたいと思うようになりました。

  

ドローンで附属練習船長崎丸を空撮する様子

空撮動画は水産学部をPRする動画で見ることができます。画像をClick

     

卒業研究は熱中できる世界でしたか?

はい、没頭しました。魚病学研究室に所属して、菅向志郎先生の元で、魚の病気の種類や現状を学びました。卒業研究では「魚類の病気を発症前に見つけることで死亡率を低くすること」を目的とした実験を行いました。目的の背景には、養殖現場で、魚の病気による廃棄の被害額が年間110億に達するという現状があります。病気を事前に発見する技術があれば、廃棄を避けることができます。水産業を助けるやりがいのある研究です。

実験では病気発見の検査方法を探るために魚の遺伝子を調べました。遺伝子解析ですから、作業は非常に微細です。数μl(1mlの1000分の1)の液体をひたすらスポイトで移し続けるという、地味な作業の繰り返しですが、一年かけて結果を出すことができてホッとしています。

卒業研究発表の様子

    

起業した経験も貴重ですね

教養教育科目「アントレプレナーシップ入門」など創造性を養う授業を受けて、起業への興味を持っていました。実現できたことで学びをアウトプットすることができたと思います。技術を磨いていたことも後押ししてくれました。実は新型コロナウィルスの行動制限があった3年の前期、やる気があるのに何もできない状況が半年くらい続いたんです。時間を持て余して、もともと身につけていたドローン操作技術に加えて、独学でプログラミングや画像編集、映像制作の勉強をしていました。立ち上げたプロジェクトでは動画編集の仕事を請け負うことができました。

また、起業とは別に県内で開催されたハッカソンイベントに参加しました、筋トレするごとにマッスルポイントが貯まり、そのポイントで買い物ができるというサービスの企画を提案して優勝しました。実現には至らなかったけれど、3日間の制限期間内でアイディアから商業ベースにするまでの構想を立てたことは良い経験でした。

ハッカソンイベント「Start up Weekend NAGASAKI SASEBO」で優勝した際、河野茂学長に報告する様子

将来の展望を教えてください

卒業後は進学します。もっと研究の腕を磨きたいですし、視野を広げたいと思っています。

その後の将来は未定ですが、起業するよりまず就職をして、世界に挑戦できる力を身につけたいです。新型コロナウィルスは僕らに大きな影響を与えましたが、多くのことを学ぶ機会でもありました。被害が大きかった業界でも、成長し続けている企業を見ると主な事業以外の生産力を持っていました。僕にも同様のことが言えます。僕にとって今は水産が一番の武器ですが、それ以外にも戦える武器を増やしたい。そして、世の中に新しい価値を生み出していきたい。そのステージは日本だけではないと考えています。

貴重なお話、ありがとうございました。

ーまつうら えいとー
2001年、静岡県生まれ。静岡県立藤枝東高等学校出身。長崎の魚を調理して魅力を発信する学生サークル・魚料理研究会に所属、会長を務めた。2年次にドローンの操縦技能者証明書を取得。工学部の山本郁夫研究室で技能補佐員として研究調査を支えた。また、3年次では企業の立ち上げに意欲を燃やし、ドローン空撮や映像制作を手がける「たつのこSTUDIO」を立ち上げて活動。4年次では魚病学研究室に所属して「魚類の炎症マーカータンパク質の塩基配列解析」のテーマで卒業研究を行った。卒業後は東京大学大学院農学生命科学研究科に進学する。

卒業生 advice

大学に入学したら、受験時の成績の優劣に関わらずみんな同じスタートラインに立ちます。何をやるにも自分次第。挑戦すればするほど視野は広がり、知れば知るほど世界は面白いです。