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教育学部 隅田祥光准教授らにより長崎県五島列島中通島の火成岩のU-Pb年代値が初めて報告されました

長崎大学の隅田祥光氏,国立科学博物館の谷健一郎氏,佐賀大学の角縁進氏らの研究グループは長崎県五島列島中通島の丹那山地域の詳細な地質図(1/10000)と,火成岩のU-Pb年代値をIsland Arc誌に公表しました。なお五島列島の火成岩のジルコンを用いたU-Pb年代測定は初の試みで,国立科学博物館(つくば)のレーザー溶出型誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)を用いて実施されました。丹那山地域の火成岩からは14.7 Ma ± 0.3 Ma (斑れい岩), 15.9 Ma ± 0.5 Ma (花崗岩), 15.4 Ma ± 0.9 Ma (花崗斑岩),15.1 Ma ± 2.1 Ma (流紋岩)の年代値が,そして矢堅目崎の花崗岩からは14.5 Ma ± 0.7 Maの年代値が得られました(Maは100万年前を表す)。

現在の日本列島は,今から約2500万年前から1500万年前にかけてユーラシア大陸の東縁が分裂することで形成されました。上五島の火成岩が活動した1500万年前は,その分裂活動の終焉(日本海と日本列島の骨格が形成)とともに,形成して間もないフィリピン海プレートが西日本の直下に沈み込み始める時代に相当します。研究対象とした上五島の火成岩は,現在に至る日本列島における活発な火成活動の最初期に形成されたもので,日本列島の形成論において未解決な部分の多い中新世中期(15.97〜11.63Ma)のテクトニクス(地球の岩石圏の動き)や火成活動を明らかにするうえでの重要な研究ターゲットであることが明らかにされました。

長崎県五島列島中通島丹那山周辺の地質図とU-Pb年代値

長崎県五島列島中通島丹那山周辺の地質図とU-Pb年代値

◆URL:https://doi.org/10.1111/iar.12390

◆タイトル
Petrogenetic implications and geochronology of middle Miocene Tannayama igneous rocks, Goto Islands, Japan Sea southern margin, northwestern Kyushu, Japan

◆著者
隅田祥光(長崎大学教育学部 准教授)

谷 健一郎(国立科学博物館地学研究部 研究主幹)

山口未歩(長崎大学教育学部中学校教育コース理科専攻 四年生)

角縁 進(佐賀大学教育学部 教授)

◆掲載誌:Island Arc, Volume 30, Issue 1, January/December 2021, e12390, 24p.