2020年1月6日、長崎大学がプラネタリーヘルスへの挑戦を宣言した背景には、「地球の健康」を揺るがす要因のいくつかについて「答え」を探求してきた長い歴史を有していることが挙げられます。
その要因の一つ、未知の感染症との闘いにおいて、長崎大学は、古くから日本の感染症対策の最前線に立ち続けてきました。離島固有の風土病はもちろん、江戸時代、海外に開かれた唯一の窓口だったことから、海外から持ち込まれる感染症の対応にも迫られました。それ以来続く長い経験の蓄積が、長崎大学の感染症研究のフィールドを世界に広げ、いわば必然的に他大学に先駆けて「グローバルへルス」を理念に掲げる大学となりました。そして、グローバルヘルスの実現を深く追求してきたからこそ、この問題が医学上だけではなく、生活環境や経済問題などが複雑に絡んでいることを長崎大学は早くから理解していたのです。
長崎大学が今考える、科学の視点と、市民・企業・行政などの視点を重ねて地球規模の様々な課題の「答え」を探求するというプラネタリーヘルスの考え方は、長崎大学に於いて生まれるべくして生まれた必然といえるでしょう。
そのほかにも、長崎は原爆投下という悲惨な経験を持ち、長崎大学は、被爆者の方々への支援を通して、世界の平和や差別といった課題に真摯に向き合い続けています。加えて、長崎は、日本における西洋医学発祥の地とされ、坂本龍馬による日本で初めての「カムパニー(商社)」の設立や、その後には石炭産業や造船、製鉄など日本産業革命の中心地のひとつとなるなど、様々な国の文化と科学を積極的に取り入れ共生することで、日本に様々なイノベーションをもたらしてきた地です。このような歴史を持つ地域に150年以上にわたり根差して来た長崎大学の、「22世紀に向け、イノベーションの起点となる」という決意こそが、プラネタリーヘルスへの挑戦なのです。
SDGsの先へ ーPlanetary Healthへの挑戦ー
Planetary Health実現のための取組み
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