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■全学教育における初習外国語について
初習外国語とは、大学で初めて学習する外国語のことで、ドイツ語、フランス語、中国語及び韓国語となり、このうちいずれか1科目を選択し履修します。
遠くて近い国、ドイツ
新入生のみんなー、元気かー?初習外国語をなににするか、もう決めたかい?もう決めた君も、まだの君も、ぼくの話を聞いてよく考えて選んでくれ。
多分君たちは、先輩や知り合いから、どの科目が単位を取りやすいとか、どの科目が楽だとか情報をもらっているかと思うけど、単位だけもらえりゃ中身はどうでもいいと思っている学生はともかく、どの科目からも学ぶべきものをしっかり学んで4年間を過ごしたいと考えているまっとうな君は、そんなこととは別な基準で科目を選択するはずだ。そもそも語学において、ある言語が他の言語より著しく簡単だ、なんてことはありえない。簡単だとしたら、それは簡単なことしかやっていないということだ。
ドイツ語は2年間4単位(2単位のところもあるが。)で、辞書さえあればとりあえずどうにかなるレベルまで君たちの語学力を鍛えることを目標にしている。だから正直たいへんだ。でも過去数年間ドイツ語は平均20名を切るクラスの実現に成功しており、きめ細かい少人数指導が可能だ。やる気のある君とはとことんつきあうぞ。
ドイツは遠いからなじみがないなんて思ってないか?距離がはなれていたって日本という国を考える上で、ドイツは絶対に無視できない。君たちは確かにひと昔前の若者ほどドイツの文学や音楽に親しむことはないかもしれないが、そもそも君たちが近代国家の日本で日々当たり前のように手にしている社会通念や常識のおおもとは、ヨーロッパから移入されたものだ。残念ながらアジアに人権とか民主主義という概念は自生しなかった。近代社会の成員として何が正しくて何が不合理かを判断する日本人の精神は、ヨーロッパの文物を吸収することで洗練されてきたのだ。この点は、いかに日本が経済大国になろうとも、まだまだ学び足りていない。湿潤な風土で育った君たちが大学で触れるべきは、乾いた硬質の合理性だ。精神を媒介するものは言語だ。言語のかなたにどのような精神が待ち構えているか、しっかり見据えた上で学ぶべき言語を選びたまえ。
とりわけドイツは日本と同様敗戦国となり、似たような現代史をたどってきた。1919年に史上最も民主的な憲法といわれたワイマール憲法を制定した当のドイツ人が、またたくまに史上最悪のナチ政権を頂くことになる。長い反省と悔悟の戦後史のなかで、彼らの民主的精神もまた、様々な形で自己検証され、鍛え上げられていったにちがいない。ある局面でドイツがどう出るかは、日本にも多くの示唆や教訓を与えてくれている。ドイツは遠いところにあるが、実は日本と近い国なのだ。
メルカ築町でドイツ料理講習会に出た君、君はドイツ語を取りなさい。フォルクスワーゲンに乗っている君、君もドイツ語を取って、今後はきちんとフォルクスヴァーゲンと発音しなさい。ザイルとかコッヘルとかシュラフとか言っている登山好きの君、君もドイツ語を取りなさい。クランケとかカルテとか和製ドイツ語を使っている医学部、歯学部、薬学部の君、君らがドイツ語を取らんでどうすんだ?昨年はワールドカップがドイツで開催され、サッカーファンならずとも、訪れた人々の間でドイツの好感度が急激に上昇した。ドイツへ行ったなら、君がフランクフルト空港に降り立った瞬間から、ドイツ人の無駄のないシステマティックな対応やサービスに接して、そこに君は彼らの合理的精神の一端を垣間見ることになるだろう。
じゃあ、みんな、授業で会おう!
フランス語担当教員よりのメッセージ
長崎大学のフランス語の授業では、フランスやフランス語圏のことを楽しく学ぶことができます。また、実用フランス語検定や、世界的に通用するフランス語の資格試験DELF (Diplôme d'Etudes en Langue Française)
受験を視野に入れた指導を行っていますので、希望者は、フランス語学習の成果を具体的に示すこれらの検定試験受験が可能になります。
テレビCMや日常生活の中にも溶け込んでいる意外に身近な言葉フランス語、英語と共通の語彙が多く、発音も日本人にとって比較的容易で、学習しやすい言葉です。フランス語を身に付けて、視野と将来の仕事のチャンスを広げましょう!
ルーブル博物館のガラスのピラミッド Pyramide du Louvre
MOLLE
Odile (助教授)
(以下アルファベット順)
HASHIMOTO
Chizuko (非常勤講師)
MATSUFUJI
Hanae (非常勤講師)
YAMAK
Pascal (非常勤講師)
○オディール・ワタナベ=モレ
カフェ Café ロワール渓谷の城館 Château du val de
Loire
私は皆さんが生まれる前から長崎大学でフランス語を教えている、ベテラン教師です(でも、気持ちは若者)。フランスは美しい国で、日本とは明治時代の1858年に国交が始まった、古い間柄です。現在フランスに進出している日本企業は400を数え、フランスの対日投資は、世界第二位にランクされています。フランス語は、パリ・モードやフランス式生活術と同じ美しさを持っています。私の授業では:
‐音楽、ゲーム、映画、テレビ番組などで楽しく語学を学べます
‐言語だけでなく、古くて新しいフランスの文化についても学習します
‐世界の5大陸に広がっているフランス語圏のことも知ることができます
フランス語学習は、楽しいだけでなく趣味や将来の仕事のチャンスを広げることにつながります。皆さん、是非フランス語を選択しましょう!
○橋本 千鶴子
セーヌ河畔に特設された砂浜 Paris-Plage フランスの結婚式 Mariage français
経済学部、水産学部2年生のクラスを担当しています。フランス人からは、「マダム・アシモト」と呼ばれています(フランス語ではHを発音しないのです)。私の専門はテレビ、インターネットなどのメディアや「今どきの」シャンソンを用いた実践的なフランス語教育です。フランス語を学ぶことで、新しいものの見方やユニークな発想法も身に付いたら、これからの人生がより豊かになると思いませんか?
Le français, porte ouverte sur un monde
nouveau. 「フランス語は新しい世界に向かって開かれた扉」
○松藤 英恵
Bonjour!
言葉は(何語であれ)何よりもまず、誰かとコミュニケーションを取る為に存在します。
従って私の講義では、フランス語の文法の基礎を身につけることと、文章で、会話で、そしてジェスチャーでコミュニケーションが取れるようになることの両方を目的としています。
文法や日常的な表現(1年終了時で仏検4級、2年終了時で仏検3級対応)の他に、1年の前期は自己紹介と人物紹介をインタビュー形式で、後期は時間や道順を尋ねる、レストランで食事をする、買い物をする等、実際にフランスで生活する上で必要な表現を実践的な劇形式で、2年ではそれぞれの内容を更にレベルアップさせた内容も勉強していきます。勿論、ヴィデオなどの映像資料も毎回使用していく予定です。
また、講義内容への質問や検定試験等の個別指導、留学のサポート他、疑問質問も随時受け付けていますので、気軽に相談して下さい。
それでは、教室でお会い出来るのを楽しみに、A bientôt!
○ヤクザン=パスカル・ヤマク
市場にて Au marché サンテミリオンのブドウ畑 Vignoble du St. Emilion
「フランス語ってかなり難しい言葉で、週に90分の授業だけできちんと覚えられるはずはない。少し習っても将来しゃべる機会がないし直ぐ忘れてしまうから、フランス語の勉強は面倒くさいばかりか、役に立たないかも…」というような気持ちでフランス語の学習を敬遠する学生が少なくないでしょう。
確かに、このような厳しい時間制限の中で続けて2年間フランス語を勉強しても、フランス語圏などの人とうまくコミュニケーションができないかもしれません。しかし、そんな理想的でない学習条件でも、効率のいい方法でこの言葉を学ぶ環境があれば、将来必要ならフランス語を上級まで独学でも習得できる能力を育めると私は確信しております。私の授業は、まさにこの環境を提供する授業です!その主な理由は、外国語の好ましい学習方法を丁寧に伝え、その習得内容を常に確かめながらフランス語の基礎を正確に教えることです。語学を深く学ぶことを長い目で見たら、その学び方を学ぶことが大切だと思っております。
「外国語の正しい学び方が分かれば、フランス語でももっと効率よくしゃべれるかもしれない。だけど、フランス語はやっぱり難しい。噂によると英語よりも難しいらしい…」
日本人にとってフランス語は、日本語と構造的に似ている韓国語よりも難しい言語ですが、英語と比べるとどうでしょうか。語の形を見たら、フランス語は英語より複雑だと言えるでしょう。名詞は、男性名詞と女性名詞の2種類で、その上、形容詞は男性形と女性形をとりますし、動詞の活用形は複雑です。しかし、フランス語の形態学的な構造は難しいのではなくただ面倒くさいだけです。その習得は、暗記の問題に過ぎません。逆に英語は日本人にとって構造的(構文的)に色々な面でフランス語より習得しにくく、発音をきちんと身に付けるまでに長い時間を要します。
実際、フランス語と英語は、いくら相違点が多いといっても単語的にも文法的にも共通点が多く、英語を学んだことがあれば、フランス語の勉強がかなり楽になるくらいです。ただし、フランス語を学ぶときに、フランス語と英語の類似性に任せ過ぎてはいけません。例えば、フランス語のAVOIRとPRENDREは、英語のHAVEとTAKEの意味と同じで、使い分けも非常に似ています。「つまりAVOIRとPRENDREは“持っている”と“取る”の意味だ」と安易に解釈する学生が多いです。ところが、HAVEとTAKEの正確な意味は、“持っている”と“取る”ではないのです。ということで、英語の理解不足がフランス語学習を邪魔する恐れがあると言っても過言ではありません。
そして、もう一つの問題は類似性と同一性を混同することです。例えば、フランス語のLEは英語のTHEと同様に、「前に指定(区別)されたもの全体(いわば“そのもの全体”)」を表わすことがありますが、LEとTHEは、使い範囲がまたがっているにもかかわらず、実際の意味がそれぞれ異なります。上記に述べた共通点と「定冠詞」という共通の名称から「LEはTHEと同じ冠詞だ」と誤解する学生が少なくありません。
この二つの問題の発生を防止するために、必要なら(つまり誤解が生じやすい場合は)フランス語を積極的に英語と比較しながら教えます。
つまり、私の授業では、きちんとフランス語の基礎文法と会話を学べるだけでなく、外国語の正しい学び方を習得できるうえ、今持っている英語の知識を見直し発達させる場を提供します。
それと、私は授業の中で(時間制限のため、少しだけですが)フランスと欧州連合(EU)の政治経済的事情を紹介します。フランスがドイツとともに柱となったEUは現在世界最強の経済圏となりつつあり、その圏内で英語の次に学ばれているのはフランス語です。北・西アフリカなどの公用語として使われてもいるフランス語は、近い将来世界的な存在が更に強くなると断言できます。そのため、前途有望な学生の皆さんにとってもフランス語の実用性は大きくなるに違いありませんので、よろしくお願いします。
リュクサンブール宮 Palais du Luxembourg
中 国 語
大学教育機能開発センター 教授 楊 暁安
中国は、5,000年以上の文明史を持っている古い国です。中国語は世界で最も美しく、歴史のある言語の一つで、国連で使用されている六大言語の一つであり、全世界において使用人口が最も多い言語です。現在、中国経済の発展により、中国の存在は世界においてますます大きくなり、日本と中国との経済関係も緊密化し、人的往来も拡大しています。中国語を身につけさえすれば、中国本土および台湾ばかりでなく、世界中の中国人とコミュニケーションをとることができます。
漢字という共通の文字を持つ日本人にとっては、中国語は他の言語よりも学び易いと言えるかもしれません。しかし、中国語と言っても、実際は広東語、上海語など、各地に様々な方言があり、その差は甚だしく、互いの意思疎通が不可能である場合も珍しくありません。現在中国では北京方言を中心とする中国北部方言を基礎とした「普通話」と呼ばれる共通語が用いられています。一般に「中国語」と呼ばれるのはこの共通語で、中国、台湾,シンガポール等の国や地域で公用語として用いられており,使用人口はそれだけで13億を超え、俗に「世界の5人に1人は中国語を話す」と言われるように,世界中で最も使用人口の多い言語であることは間違いありません。
いま、日本の38,000以上の企業が中国に進出しているので、今後、ますます中国語を駆使できる人材が求められ、中国語の使い道は絶えず広がり、中国語を勉強する外国人はますます増えるでしょう。長崎大学でも、新入生の半分以上が中国語を初習外国語として必修にしています。
よく似た日本語と韓国語
大学教育機能開発センター 助教授 劉卿美(ゆう・きょんみ)
ハングルとは韓国語の文字のことで、日本語でいえばひらがなにあたります。1443年、朝鮮王朝の第4代国王、世宗(せじょん)が国の学者たちを集めて作らせたものです。子音と母音をくっつけて文字を作る仕組みです。たとえばㄱ〔k〕の子音とㅏ〔a〕の母音を合わせて가〔ka〕となる具合です。韓国語の語順は日本語と同じで、英語を習った時のように「S+V+O」とか「S+V+C」などはまったく必要ありません。そのまま頭から一つずつ単語を置き換えていくだけでいいのです。また韓国語の語彙は漢字語が約7割を占めていますが、そのほとんどが日本語と共通しています。「市民」はシミン、「温度」はオンドと、発音まで同じことも少なくありません。
韓国語を学ぶ動機は「韓国の歌に興味がある」「韓国料理が好き」という素朴な興味によるものが多いようです。それは十数年前に韓国で日本語を始めた私の動機でもあります。韓国語は日本語と文法も語彙も似ていて、とても別の言語とは思えないこともしばしばです。私にとっての日本語は単なる比較の基準ではなく、半ば自分自身の別の姿のようにさえ思えることもあります。私は韓国語と似ているけれども異なる、そんな日本語を学ぶことによって、韓国語を知り、韓国人としての自分を考える上でもう一つの尺度を獲得したと思っています。これから入学する皆さんにも、大学で韓国語を学ぶことによって、単に言葉だけではなく、自らを知る手段や尺度の一つをものしてくれることを願っています。
韓国語の授業についてのより詳しい情報は、担当教員のホームページをご覧ください。
http://www.redc.nagasaki-u.ac.jp/~you-kiss/index2.html
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Update: 2007/3/30
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