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東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(21)斎藤清美術館

2018年10月31日

   2018年9月15日から11月25日まで、福島県会津坂下(ばんげ)の柳津町にある「やないづ町立斎藤清美術館」において、ノーマン・トールマン氏自身が収蔵されている貴重な版画展が開催されています(https://www.town.yanaizu.fukushima.jp/bijutsu/)。同じ「清」では、裸の大将と呼ばれた天才画家山下清(1922−1971)が有名ですが、ここ福島では、戦後最も愛された木版画家の斎藤清(1907—1997)が、故郷の誇りの一人です。
   斎藤清の作品は、白と黒の鮮やかなコントラストで描かれている「会津の冬」や、猫の目に焦点を合わせた「凝視」などの代表的なシリーズに加え、多種多彩な風景画、そしてユーモアと温かさを兼ね備えたものなどがあり、いずれも魅力が満ち溢れ、その構図の大胆さとシンプルさに誰もが感動させられます。
   国内外に多くのファンを持つ斎藤清ですが、その一人であるアメリカ人蒐集家のトールマン氏所蔵の特別展が、氏ご本人の来福とオープニング講演を皮切りにいま柳津町で開催中です。氏が魅せられたという「はにわ」は、美術館が出版してきた斎藤清の世界200選「Best of The Best」にはみられない不思議な力を感じさせます。そのトールマン氏が私蔵する他の芸術家20名の珠玉作品も同時に展示されていますが、これらの蒐集物は今後アメリカの美術館に収蔵され、日本では最初で最後の展示会となるそうです。アートが紡ぐ心の安寧と平和の眼差しが、雪深い会津からも福島復興と未来創造の力の源となることが確信されます。