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保健・医療推進センターの研究グループが大学生に適した新規食行動質問票を作成

長崎大学保健・医療推進センターの山崎浩則准教授,田山淳准教授,前田真由美保健師,大坪敬子保健師,淺雄加奈子保健師,調漸センター長,そして,長崎大学病院内分泌代謝内科の阿比留教生による研究グループは,大学生に適した食行動質問票を新たに開発した,メタボリックシンドローム(MetS)の有病率が20歳から40歳にかけて急増しているという背景から,MetS発症予防には,20歳代の若年成人の肥満予防が重要な課題であると考え,彼らの食行動質や肥満に対する認識のズレを評価できる食行動質問票を作成する事を目的とした,1998年に30個の質問から構成される食行動質問票(原版30)が作成された。これは高齢者も含めた成人全体をもとに作成されたため,1588人の大学生を対象として,原版30の回答を得て,項目反応理論を用いて14個の質問を選別できた(選別14)。質問数は約半数になったが,肥満を識別する能力は,原版30に劣ることはなかった。さらに,正常BMI者が,一年後に肥満に移行することについては,男性629人のうち30人,女性469人のうち7人が移行した。その移行に関連する質問を,特異的項目機能分析を用いて,原版30の中から4つ抽出できた(選別4:最高16点-最低4点)。その4つは,?自分は他人より太りやすい体質だと思う,?水を飲んでも太る方だ,?小さいころからよく食べる方だった,?連休や盆,正月にはいつも太ってしまう,であった。得点と肥満移行の関係をROC曲線で解析したところ,カットオフ値は,男性で10点,女性で11点であった。しかし,陽性的中率はそれぞれ12%,2%であり,これだけでは十分な陽性的中率ではなかった。しかし,BMIと腹囲をも予測因子に含めると,男性では,BMI23.3kg/m2以上,腹囲76.9cm以上,選別4の10点以上のすべてを満たした場合,一年後の肥満移行を陽性的中率40%で予測できた。同様に女性においては,陽性的中率はわずか5%であり,有用ではなかった。

大学生に適した食行動質問票を用いることは,男性の肥満予防介入の効率向上に有用である。しかし,女性では,さらなる予測因子の検討が必要である。