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学長室

明治150年記念特別展「写真発祥地の原風景 長崎」の開催に寄せて

2018年05月22日

明治150年を記念して長崎歴史文化博物館で開催される特別展「写真発祥地の原風景 長崎ー写真で振り返る幕末・明治の長崎ー」。

この展覧会では、本学が所蔵している古写真を中心とした資料を多数展示させていただいております。本学が古写真の収集を始めましたのが1988 年、古写真データベースをインターネットに公開したのが1998 年ですので、本年は古写真収集30 年、データベース公開20 年に当たります。節目となる年に、このような機会を与えていただいたことに、深く感謝いたします。

長崎は鎖国時代唯一西洋に開かれた港であり、我が国への写真の導入も長崎から始まったと言われています。写真機の最初の渡来は、開国以前の出島を介してのことでした。また、日本人に最初に写真術を伝授したのは、長崎に赴任したオランダ人教師たちでした。

長崎大学は1857 年11 月12 日、オランダ軍医のポンペ・ファン・メールデルフォールトが始めた医学伝習を自らの「創基」と位置づけています。このポンペに写真術の基礎である化学を教わったのが、後に「写真の開祖」と呼ばれることになる上野彦馬です。また、ポンペの後を継いだ医学教師アントニウス・ボードインとその弟アルベルト・ボードインが撮影・収集した写真集は、本学の最も重要なコレクションとなっています。

幕末に伝来した写真は、その後の日本の近代化を記録する格好のメディアとなるわけですが、一方で、それを持ち込んだ西洋人にとっては、「東洋の神秘の国、ニッポン」の姿を自国に伝える日本土産でもありました。日本土産として大量に輸出された日本の写真は、今も世界各地に残っています。

長崎大学は、世界に点在する日本古写真の「世界拠点」となることを達成すべき目標のひとつに掲げ、国内外の日本古写真の所蔵機関と連携してデータベースの整備を進めるとともに、学術情報資源としての日本古写真の価値を高める活動を行っています。本展は、これまでの古写真事業の集大成であるとともに、今後のさらなる飛躍に向けた一歩になると確信しています。