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学長室

2022年 年頭のご挨拶(動画は学内限定)

2022年01月04日 動画を再生 動画を再生

長崎大学人の皆様、明けましておめでとう御座います。
令和4年、2022年の新年を新しい気持ちでお迎えのことと思います。 

私たちはすでに新型コロナウイルス感染症を2年間にわたって経験してきました。マスクもすっかり毎日の生活に定着し、すでに80%以上の方が2回目のワクチン接種を済ませ、いよいよ3回目ワクチン接種やワクチン・検査パスポート、さらには経口の抗コロナ薬も準備されています。オミクロン株という変異株が急速に広がっていますが、私たちは今までの経験を活かして、単に自粛するだけの生活からコロナと共生する暮らしに次第に移行しています。

勿論、新型コロナ感染症がすぐに収束するとは思えません。まだ数年を要するかもしれませんが、経験と科学に基づいた対応が待っています。間近に迫った共通テストなど様々な入学試験やその後に予定されている職域接種などに対し、また、日常の教育研究において、コロナを見据えた教職員の皆さんの献身的な工夫と努力に深く感謝申し上げます。

皆さんの努力のおかげで、受験生が安心して受験でき、学生が一生懸命勉強できるような環境が整うと思います。ありがとう。

2022年の長崎大学はどのように発展するでしょうか。

いよいよ第4期中期目標・中期計画の期間に入りますが、長崎大学丸の船長としては、2020年に「地球の健康に貢献する長崎大学」の帆を上げ、一つの方向「プラネタリーヘルス」へ進みはじめました。2021年からは全学教育の必修科目として全1年生にその意味を考えて貰うようにしました。2022年は全ての部局で研究テーマとしてそれぞれの特徴を出して貰えればと願っています。皆さん一人一人の目標はどう定められていますか。

皆さんひとりひとりの目標や思いを乗せた長崎大学は,着実に歩みはじめています。
人類と地球の抱える多様で相互に連関する問題群の解決に向けて,学際的にその知を結集・創造し、国内外の諸機関等との連携をはかりつつ、プラネタリーヘルスの実現に貢献する世界的“プラネタリーヘルス”教育研究拠点になるべく着々と歩みを続けます。

さて、第4期においては、この流れを踏まえて組織を整備する必要があります。
本学が教育、研究、社会貢献、国際化の分野で発展するためには、特に教育研究組織整備を諮ります。学部研究科をまとめた学域のさらなる実質化であり、プラネタリーヘルスの名前を冠したプラネタリーヘルス<学環>の設立がそれを象徴しています。<学環>とは、聞きなれない言葉ですが、様々な学問を環状につなぐという意味です。

学環の教員組織は「生命医科学域」「人文社会科学域」「総合生産科学域」の3学域にまたがり、機動的かつ戦略的な教員編成と予算編成を展開し、部局横断的な教育研究を推進することにより、教育研究の高度化、学際化及び活性化を目指します。プラネタリーヘルス学環は、まさにこの体制を活用し、社会及び時代のニーズにマッチした先進的な学位プログラムを構築するものです。

現状の日本で、私が最も危機的に感じていることは、ものづくりに関わる産業の衰退です。産業が製造業から情報産業に移行する中、教育の魅力の向上は不可欠であり、環境に優しく、持続可能なイノベーションにつながる教育は極めて重要になります。そのため、総合生産科学域において、一研究科一専攻体制に向けた改組を進めます。令和4年には工学研究科と水産・環境科学総合研究科に水環境科学コースと海洋未来科学コースを学位プログラムの横串コースとして新設し、令和6年の一研究科一専攻改組への橋渡しとします。

その基盤領域としてはマテリアルサイエンス、エネルギーシステム、環境レジリエンス、水産生物資源、情報データサイエンス、実装領域としては脱炭素技術、海洋科学、国際水環境科学を、プラネタリーヘルス実現のための研究単位として組織整備を進めます。

その中で創設後2年を経過した情報データ科学部の存在が極めて重要になります。
令和6年には情報データ科学部の修士課程を新設します。ここは産官学連携の重要な役割を背負って貰うために、学生教職員にとってさらに魅力を増すよう新たな試みを検討しています。
日本においては人口の減少と高齢化が急速に進行しています。日本の未来において極めて重要なことは将来を背負う若者の教育です。長崎県の教育を全ての領域で可能にするためには、他大学との連携が必要であり、その検討を開始しました。共同教育課程を九州内の大学と作り、その連携を考慮した本学教育学部のコースの再編も目指します。

さて、新型コロナ感染症への対応は、今回の経験を通じて平時と有事の診断から治療薬、予防薬の開発までの一気通貫の連携の確立が必須です。本年3月にはB S L2・3の研究棟が竣工します。さらに念願の歯学部B棟の改修が始まり、医歯薬の研究の場の改善が進みます。今後の薬学部の坂本キャンパス移転に向けての環境を整えていければと考えています。感染症研究に関しては、医歯薬、熱研、TMGH、BSL-4拠点、大学病院からの有意な教員による感染症研究出島特区を作り、世界トップレベルの研究を推進します。ですから、医歯薬系もこれまでの慣習にとらわれることなく、自ら変化し組織改革を推進し、進化しなければなりません。

本学は歴史的経緯から、文教、坂本、片淵の三つにキャンパスが分散していますが、いずれも老朽化しており、先端的な研究や社会からの期待に対応するのに苦労しています。とりわけ、ここ近年に設置した多文化社会学部や情報データ科学部の整備は急務です。また、単独キャンパスである経済学部も、他の学部や社会との連携を通じて、新たな学問領域を創造していく必要があります。長崎市は今、100年ぶりに大きな街造りが進んでおり、大学も社会や地域の要請に対応した、キャンパスの在り方を模索しています。

新年ということで、初夢について最後に話します。
一般的に、宝船に乗った七福神が夢にでてくると縁起が良いということですが、私の初夢は、こうです。長崎大学丸に学生や10学部をはじめ全部局員が乗船します。

そこで、経済学部や多文化社会学部や情報データ科学部等がひとつの創造的なプロジェクトを起こし、画期的な躍進が起こり、大学丸全体が大きく前に進む。そして、まだまだ続く新型コロナ感染症の荒波の中で、病院や医歯薬学部をはじめ全学部の乗組員が一生懸命、櫂を漕ぎ、ついに、長崎大学丸が新しい夜明けの海に出る。

それが、私の初夢でした。さあ、みんなで、がんばりましょう。