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学長室

平成16年度大学高度化推進経費  (学長裁量経費公募研究プロジェクト)について

2004年05月01日

[I] はじめに
平成16年度大学高度化推進経費(学長裁量経費公募研究プロジェクト)については,去る2月6日に公募を締め切った後,慎重に選考を進めてきました。しかし,平成16年度予算配分案(第3次案)の変更に伴い,学長裁量経費充当額の決定が遅れたため,上記プロジェクト採択発表が当初の予定(平成15年3月)よりも遅くなったことをお詫びします。

[II] 公募プロジェクトカテゴリー
昨年度との主たる変更点は,公募対象プロジェクトを6カテゴリーから「その他」を含む4カテゴリー
(1)     地域特色的研究
(2)     大学間・政府間協定に基づく国際交流事業
(3)     個人で行う萌芽的研究
(4)     その他
にしたことです。

従来の「教育内容・方法の改善に関する研究」,「異なる部局の研究者が共同して行う学際的研究」,「各部局の個性化に資する研究」の3カテゴリーを公募対象としませんでした。その理由は「部局の個性化」については学部長裁量経費等を適用願いたいこと,「異なる部局」については「地域特色的研究」へ申請願いたいこと,また平成16年度の学長裁量経費としては7000 万円(公募研究プロジェクト3500万円,公募研究機器購入助成3500万円)程度の見込みであり,「個人で行う萌芽的研究」に研究助成の主力をおきたいと考えたからです。

[III] 応募及び採択状況

今回の応募総数は220件(地域特色的研究52件,大学間・政府間協定16件,萌芽的研究150件,その他2件)でした。昨年の応募総数174件に対し46件(26%)増となりました。

萌芽的研究は昨年度に新設した研究助成です。この助成は個人で研究を行うことの多い文系教員,及び若手教員を視野に入れたものです。150件もの申請があり喜んでいます。採択課題総数は27件(地域特色的研究4 件,大学間・政府間協定1件,萌芽的研究21件,その他1件)でした。しかしながら,採択率は12.0%,交付金額は申請総額283,052,000円に対して12.3%の34,850,000円に過ぎません。

国立大学が法人化され予算の重点配分や弾力的配分,評価とインセンティブの導入が重要視されています。次年度の学長裁量経費のカテゴリー設定及び配分についてさらに検討します。具体的には,上述のとおり,長崎大学としては,たとえば先端的・萌芽的な研究・教育の課題に予算を注入するなど,今まで以上に特色のある学長裁量経費配分ルールを創るべく引き続き努力するということです。採択に関しての透明度(情報公開・説明責任の遂行)をさらに高めることはいうまでもありません。

本年度プロジェクト採択にあたっての問題点として,学長裁量経費公募研究プロジェクト申請課題と文部科学省科学研究費補助金申請課題とがほぼ同一か類似していて,当該課題が科学研究費補助金に採択された場合の取り扱いがありました。これは学長裁量経費公募研究プロジェクト決定と科学研究費補助金採択決定とが近かったことも関係しています。今回の公募研究プロジェクト選考は,文部科学省のそれとは独立に本年3月に終了しており,4月に発表された文部科学省研究助成採択の有無は考慮していません。

[IV] 採択基準
(1)     副学長及び学長補佐あわせて9名が審査に当たりました。評価基準についてはあらかじめ9人でよく話し合い,審査基準(評価基準)が一定となるように配慮しました。
(2)     審査に際しては1チーム3人編成として3チーム編成しました。4つのカテゴリーの申請課題をそれぞれのカテゴリーごとに無作為に3分しました。
(3)     上記3チームは4つのカテゴリーについて,それぞれ3分の1の申請課題を審査しました。チームの3名は互いに独立して評点をつけました。なお,昨年度と同じくすべての審査員が学長裁量経費を申請していません。
(4)     各カテゴリーごとに評点の合計値の高い順に採択課題を決定しました。

[V] 研究成果の公表

平成16年度以降はプロジェクト採択者による研究成果発表会は行わず,成果報告書も刊行しない予定です。その理由には過去において研究発表会への学内参加者がきわめて少なかったこと,また成果報告書はフルペーパーでないため業績にならないことなどがあります。その代わりに平成15年度以降の採択者は当該年度終了後2年以内(平成15年度採択者は平成17年度末まで)に文末に学長裁量経費による助成を受けたことを記載した原著1編を発表すること,ならびに別刷り2部の学術国際課への提出をお願いします。製本して1 部は本学附属図書館に架蔵,1部は国会図書館に寄贈します。また著者名及び論文タイトル等を長崎大学ホームページに掲載します。このことは社会への説明責任をはたすとともに,業績に対する学外からのアクセスを確保することになるはずです。

[VI] 本学の重点的・弾力的資源配分について
本学の年間予算は人件費を含めて総額420億円です。平成 16年度は法人化されたとはいえ,平成15年度とほぼ同じような予算配分(ソフトランディング)としたため,18億円を教育研究基盤経費として部局等に配分しています。これは学生数や教官数等に積算根拠をおく配分基準によって(いわば自動的に)配分が決定されます。このなかで平成16年度に学長の裁量で交付できる研究助成額は15年度の4800万円よりもずっと少ない3500万円とならざるを得ませんでした。なお,平成15年度の教員の海外渡航については学内公募により派遣教員を決定して530万円を支出しました。教員の海外渡航を公募としたのは本学では昨年度が最初です。

学長裁量経費未配分額が3500万円ほどあります。これは研究機器購入にあてる予定ですが,その使途についてはさらに検討します。なお,昨年度の学長裁量経費(研究機器購入助成)として当初3000万円ほど用意しましたが,安全衛生法関連費用に当てましたので昨年度は配分できませんでした。

[VII] 長崎大学の「中期計画・中期目標」に見る重点的・弾力的資源配分
「長崎大学中期計画・中期目標」ならびに「国立大学法人長崎大学の管理・運営に関する基本的考え(平成16年1月発表,長崎大学ホームページ掲載中)」に,今後の本学の予算配分について“平成16年度予算配分に関しては従来の配分実績・経緯を最大限に配慮する。17年度以降は学長と部局との合意形成を前提にして,部局運営費等の配分は教員定員を基礎にした配分方式を採らず,部局運営に必要な経費を再検討し,全学的視野からの弾力的かつ柔軟な重点配分方式を実現する。”と明記されています。

早急に全学的な検討に入り,平成17年度からはぜひとも社会から注目されるような本学の重点教育研究課題に対する重点的・弾力的配分を実現させたいものです。なお,この配分は研究費助成ばかりでなくマンパワーの配分をも含めて検討したいと考えています。

[VIII] おわりに
文部科学省科学研究費補助金配分額は3年連続で10億円の大台を超えました。このことは,昨年度まで長年にわたり教官1人当たりの申請率(申請件数)が0.5に満たなかった教育学部及び経済学部が,平成16年度は 0.6を超えるなど全学の教員各位のご理解ご協力のおかげと感謝します。とくに薬学部の毎年の教員1人当たり1.8という高い申請率(申請件数)に敬意を表します。

本学において教育研究経費の重点的配分を実現させるためには科研費などの競争的研究費の獲得件数及び獲得金額の増加が必須です。また,申請率の高低そのものが大学及び大学人に対する評価に直結していることを忘れてはなりません。申請率(申請件数)を高める自助努力をしないようでは「次年度の国立大学予算への効率化係数導入反対,国立大学の教育研究にもっと国費を投入せよ」とする私たちの要求はまったくナンセンスだと国民の多くは考えるでしょう。

競争的研究費導入に対して最善の努力をすることは大学人のもっとも大きな責務の一つです。本年10月の平成17年度文部科学省科学研究費補助金助成に対する長崎大学の申請率(申請件数)が“教官1人当たり1”を超えないようでは長崎大学に明るい将来はありません。いまから準備をよろしくお願いいたします。