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学長室

平成17年 年頭挨拶

2005年01月04日

新年おめでとうございます。全学の皆様に仕事始めのご挨拶を申し上げます。

昨年は,法人化スタートの年として,教職員の皆様にはとりわけ多大なるご苦労をおかけしましたが,さいわいにさしたる混乱もなく過ぎて,ここに新年を迎えることができました。皆様のご努力ご協力に心から感謝申し上げます。

平成17年度の政府予算案が昨年12月22日に内示されました。財務部で鋭意その詳細について分析しているところですが,本学の教育研究の基礎となる経費(基盤的経費)が昨年度に比較して1億2千万円ほど減じていることは確実であります。この額は本学教職員の人件費(給料)17人分に相当します。

定員削減あるいは給料カットすることなく,長崎大学に期待されている質の高い教育・研究・社会貢献を展開するには,当然のことながら「選択と集中」,すなわち何を優先し,どこに重点的に資源を配分するかの戦略をたてなければなりません。

武田信玄の有名な言葉に「人は石垣,人は城」があります。武田信玄は民政が軍事力の基礎であることを知っていたのです。

似たような話が「史記」にあります。中国の春秋時代の末期,魏の武侯が,軍師呉起(兵書,呉子の作者)とともに西河に舟を浮べ,中流に至り呉起を顧みて言った。“美なるかな,山河の固め,これ魏の宝なり”。呉起の答え,“国の守りは(地形の)険にあらず。もし君が徳を失えば,この舟中の人もことごとく敵になるだろう”と。

漢代に撰せられた「淮南子」に“戦いの勝敗はもともと政治のよしあしにあり”と記述されているそうです。平時の民政こそが大事というのでありましょう。

いずれも言わんとするところは「皆が気持ちをひとつにすることがもっとも大切」,そして「気持ちをひとつにさせるのは指導者の役割」ということでありましょう。

長崎大学の目的はいうまでもなく「教育,研究,社会貢献」により世界にとって不可欠な大学となること,そして「地域の人々に愛され,親しまれ,頼りにされる大学」となることです。

本年度は法人化1年目ということで予算面ではソフトランディング(平成15年度とほぼ同じ)としましたが,昨年12月の教育研究評議会で申し上げましたように,先端的,萌芽的で長崎大学の将来を担う教育研究を支援できる平成17年度予算を確保したいと考えております。

今年,教育学部は創立130周年を,経済学部は創立100周年記念事業を控えています。別の言葉で言えば,130年,100年の間,地域の人々のご支援のお陰で今日を迎えたということであります。地域社会への感謝の気持のこもった記念事業となることを願っております。

さらに,教育学部には「教員養成の専門職大学院構想」,経済学部には「会計専門職大学院構想」,医学部では本年度採択された特色GP「現代版赤ひげ医師養成」の教育カリキュラムの円滑な遂行,水産学部では鶴洋丸代替船竣工にともなう「附属海洋資源教育研究センターの抜本的改組」,薬学部では平成18年度導入予定の「学部教育六年制」にともなう学部教育・大学院教育の大刷新,熱帯医学研究所では「ケニアに熱帯病・感染症研究拠点整備」,全学的にはこの1年間着々と整備統合してきた「学内共同利用施設のさらなる再編統合」など,どのひとつを見ても実現のあかつきには“さすが長崎大学!”と社会から注目をあびる取り組みが目白押しです。

予算面で厳しいことは事実ですが,「金がないから出来ない」という言い訳を長崎大学はいたしません。構成員が一致団結して“Not for the Faculty, but for Nagasaki University”という考えに収束するとき,長崎大学に不可能という文字はなく,おのずから道は開けると信じます。

長崎大学の活力を全世界に向けて示そうではありませんか。

以上を持ちまして新年の挨拶といたします。