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学長室

平成17年度長崎大学入学式告辞

2005年04月08日


皆さん,総勢2250人の学部および大学院入学の皆さん,長崎大学へようこそ。長崎大学在学生9300人,教職員2400人,卒業生60000人がこぞって皆さんの入学を歓迎します。

長崎大学は第二次世界大戦が終わって4年後の1949年に,長崎医科大学,長崎経済専門学校,長崎師範学校,長崎青年師範学校,長崎高等学校が包摂されて,学芸学部,経済学部,医学部,薬学部,水産学部の5学部の国立大学として発足しました。その後1966年に工学部,1979年に歯学部,1997年に環境科学部が設置されました。

現在,8学部,医学部・歯学部附属病院,熱帯医学研究所,附属図書館を有し,アジアをはじめ多くの国々からの留学生300人を含めて総勢9300人の学生が学ぶ,わが国に700ある大学のなかで質量トップレベルの総合大学に発展してきました。

長崎大学は昨年4月1日を期して「国立大学法人長崎大学」となりました。「国立大学法人」とは何かの詳しい説明は,今日は省きますが,「国立大学は親方日の丸の気持ちでいてもらっては困る,世界第一級の教育・研究を行い,優れた人材育成,顕著な社会貢献がないかぎり,国は面倒をみない」と要約されます。「怠けている国立大学はつぶれる」ということです。

長崎大学の目標は「世界にとって不可欠な“知の情報発信拠点”であり続けること」であります。

これを具体的にいいますと
1)     長崎大学は教育,研究の両面で世界のトップレベルを目指して,戦略的な教育研究企画を推進し,教育・研究の更なる発展を図る
2)     「学生顧客主義」の標語の下,教養教育,学部専門教育,大学院教育の充実を図って最高水準の教育を提供するとともに,入学者選抜,課外活動,就職などを含む学生生活の全般にわたって支援体制を一段と強化する
と要約されます。

「学生顧客主義」といっても皆さんを甘やかすことではありません。長崎大学で学ぶ間に,皆さんがほかのいかなる大学で学ぶよりも大きな付加価値を付けて社会に送り出すという長崎大学の決意表明なのです。

長崎大学は個性的で魅力あふれる大学になれるか? 答えはもちろん「イエス」です。その理由は皆さんが入学してくれたからです。

若いことはすばらしいことです。皆さんの存在そのものが祝福されています。そのような人たちが入学し,活躍するとき,長崎大学が個性的に,魅力的にならないわけがありません。

何かというと,「今時の若い者はどうも,,,」と言う人がいます。しかし,長崎大学は決してそんなことは言いません。「今時の若い者は,,,」という台詞は紀元前何世紀かのエジプトの煉瓦に釘で彫りつけてあるそうです。昔から年寄りは若者を羨んで「今時のとか,何だとか」文句を言って来たのでしょう。

皆さんは何も恐れることはありません,積極果敢に自分の思うところにチャレンジしてください。

私が大学に入学したのは1956年です。もう50年も前になります。そして,いま思うことは,友人たちの人生を見ていて「なるほど,彼らしい人生だ」と思える友,あるいは「彼はいい生き方をしてきた」と感ずる友は,皆,学生時代からそのことを私に予感させる何かを持っていたのです。

それは何か? 彼らは学生時代に「一生懸命になれるもの」を持っていたのです。勉強が何よりも好きな友もいましたし,野球に一生懸命の友もいました。

学生時代に「打ち込んで何かをした」ということのない私が言うのは気が引けるのですが,皆さんには,ぜひ長崎大学で自分が打ち込んでやりたいことを見つけてほしいと願っています。

皆さんの一生懸命な姿が長崎大学に対する社会の評価を高めるのです。皆さんの一生懸命な姿は,そのまま長崎大学から世界に向けた最も大切な「知の情報発信」となるのです。

先ほど,長崎大学ロマンツアー合唱団と長崎大学管弦楽団の長崎大学学歌の合唱と演奏がありました。皆さんの入学を祝って先輩の彼らが心を込めて歌い,演奏したのです。皆さん,感激したでしょう? このように若者の一生懸命な姿は見る人,聞く人を感動させます。このような行いの積み重ねが長崎大学の名前を不朽にするのです。皆さんも「一生懸命」で願います。そんな皆さんを長崎大学は全力をあげて支援します。

最後にひとつ皆さんにお願いがあります。長崎大学は過去に実に悲しい歴史を持っています。1945年8月9日の原爆被災により,現在の教育学部の前身の長崎師範学校は50余名の,また医学部,薬学部の前身の長崎医科大学および附属薬学専門部は897名もの教職員学生を喪いました。

いま,桜が満開の文教キャンパスや医学部や附属病院のある坂本キャンパスで,60年前に長崎師範学校や長崎医科大学の大勢の先輩が原爆の犠牲になったのです。長崎大学キャンパスは原爆で生命を落とした先輩たちが眠っている奥津城なのです。たばこのポイ捨て,紙くずやペットボトルの投げ捨て・置き去りなどは先輩を冒涜する実に恥ずべき行為です。あってはならないことです。ゴミが落ちていたらそっと拾って片付けてください。

原爆の犠牲になった先輩たちは生きておられたらきっとすばらしい仕事をなさったに違いありません。先輩たちの分までよく生き,よく勉強するのが皆さんと私たち,すなわち長崎大学人の責務なのです。

皆さんのような無限の可能性を秘めた若く能力ある青年を得て長崎大学はとても喜んでいます。長崎大学のあたらしい歴史を創ってくれるに違いない皆さんの入学を歓迎します。これからの活躍を期待しています。

以上を持って学長告辞とします。