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学長室

長崎大学経済学部創立100周年記念式典 長崎大学長挨拶

2005年10月08日

激動の20世紀の100年間,わが国の商学・経済学の高等教育をつねにリードし,数多の人材を輩出してきた長崎大学経済学部創立100周年を心からお祝い申し上げます。

これまでもそうでありましたが,これからも「長崎大学経済学部なくして長崎大学なし」であります。杖とも柱とも頼む経済学部創立100周年は長崎大学にとりまして,もっとも記念すべき,もっとも慶祝すべきことがらであります。重ねてお祝い申し上げます。

江戸時代の昔から「笈を負うて長崎に遊学する」という言葉が知られています。17世紀以来の鎖国時代にわが国唯一の世界に開かれた窓であった長崎は学問を目指す若者の憧れの地であり,多くの俊秀が長崎に集まりました。

そのような背景の中で,長崎には
1857(安政4)年,医学伝習所が設立されました。後の長崎医科大学へと繋がります。
1874(明治7)年,小学教則講習所が設立されました。後の長崎師範学校です。
1890(明治23)年,第五高等中学校医学部薬学科が設立されました。後の長崎医科大学附属薬学専門部へと繋がります。
1905(明治38)年,長崎高等商業学校が設立されました。第二次世界大戦末期に長崎経済専門学校と校名が変わりました。
1921(大正10)年,実業補修学校教員養成所が設立されました。後の長崎青年師範学校であります。

それぞれに長い歴史を刻んできた以上の5つの高等教育機関が包摂されて,1949(昭和24)年,学芸学部,経済学部,医学部,薬学部,水産学部の5学部を擁する長崎大学が設置されました。

5つの清流が合して,長崎大学という大河となったのであります。その後,1966(昭和41)年に工学部,1979(昭和54)に歯学部,1997(平成9)年に環境科学部が新たに設置され,さらなる大河へと発達して日本を代表する総合大学のひとつになりました。

長崎大学が設置されて55年という節目の年の平成16年に「国立大学法人長崎大学」として新たなスタートを切りました。このとき本学は大学の理念として「学生顧客主義」を掲げました。

「学生顧客主義」とは何かと申しますと,「長崎大学は学生のために存在する」ということです。社会の皆様のご理解とご支援の上に立って,「学生のための長崎大学」を学生諸君と教職員と卒業生とが協力しあって創り上げる,ということであります。

このような大学でないかぎり学生諸君は長崎大学で学んだことを誇りとしてくれるはずがない,と私は確信します。

誇りを持つ人間は自己の利益を第一としない人間となります。このような人材を育てるのが長崎大学の使命であります。

長崎高等商業学校以来,「曉星淡く瞬きて 金鷄夢を破るとき」の歌のもとに集いし若人二万一千有余,全世界に雄飛して活躍されていることは,本学のもっとも誇りとするところです。

その同窓の皆様が「公開講座」,「寄附講座」の設置など,母校にお寄せ下さるご支援ご協力はまことに篤いものがあります。そのご支援が「長崎大学で学んだことを誇りとする後輩を育てる」という点に焦点が当てられていることに心からなる敬意と謝意を表する次第です。「長崎大学経済学部なくして長崎大学なし」と申し上げる所以はまさにここにあります。

さて,このたび長崎大学は「各界で顕著な功績を挙げ,本学の名誉を高めた卒業生」,あるいは「本学に対する功績が長年にわたる方」に「長崎大学名誉校友」の称号を付与させていただき,長くその功績を讃えることといたしました。

そして,昭和23年の長崎経済専門学校のご卒業で,大和証券株式会社社長,会長を歴任され,わが国の証券業務の国際化に多大の貢献をなされ,また経済学部同窓会「瓊林会」会長として本学の発展にご尽力下さった土井定包様を「長崎大学名誉校友(第1号)」に推挙させていただくこととなりました。なお,土井様は平成16年秋に旭日大綬章を受章されておられます。本日は急なご都合でご出席がかないませんでしたが,皆様にご報告申し上げ,ともどもお慶び申し上げたいと存じます。

経済学部の21世紀におけるさらなる発展を重ねて祈念申し上げて学長挨拶といたします。

本日はまことにおめでとうございます。


(2005.10.8 経済学部 )