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学長室

長崎大学長再任の挨拶

2006年10月11日

私,齋藤寛は平成18年10月11日付けをもちまして国立大学法人長崎大学長に再任いたしました。任期は平成20年10月10日までの2年です。再任にあたり以下にこれからの2年間の大学運営の基本方針を述べます。

 

国立大学法人長崎大学運営の基本方針



基本的行動原則
我々は長崎大学の社会的存在意義を自認し,それを尊ぶことによって自らを律する行動を取ることが求められています。しかしながら,本大学ではここしばらく研究費の不正使用やセクシャルハラスメントなど職員や学生の不祥事が相次ぎました。大学キャンパスでこのような事態が頻発することは職員の労働意欲や学生の勉学意欲をそぐばかりでなく,長崎大学自らが社会から付託されている使命を放棄していると言われても仕方ありません。
長崎大学で学び,働くことの誇りをお互いが共有できる行動規範を創造します。

運営の基本
1 強いリーダーシップとそれを支えるボトムアップ制度

法人運営には情報確保が極めて重要です。各種情報は学長を中心とした役員会に集積されますが,組織的な情報収集と管理・運営体制整備を継続しなければなりません。そのような情報と各部局等から寄せられる意見を戦略的に統合することで大学運営を推進します。
このような運営で留意すべきは,適切な情報提供と意志決定過程の透明性を確保することです。重要課題についての意思決定には各部局と役員会との懇談会を開催するとともに,各部局からのヒヤリングを活用し,さらに,各部局間の情報交換の場として,連絡調整会議の積極的な運営を目指します。
法人化に当たって,各部局からのボトムアップを支える方途の一つとして全学委員会を設置しましたが,現在までの運営状況を見直し,全学委員会を単なるボトムアップ機関とするだけでなく,全学的見地からの運営も視野に入れた統廃合を推進していきます。

2 法人としての個性を活かす運営(オンリーワンの再確認と創出)
21世紀の長崎大学の個性発揮の課題として,21世紀COE研究として採択された「放射線医療科学」や「新興感染症」はまさに長崎大学の研究個性を表現しています。それとともに国際連携課題として取り上げた「環東シナ海に焦点をあてた海洋・水産科学」も地域の特色を活かした取り組みです。
しかしながら,今後は次世代の個性的かつ魅力ある課題の発掘と創出から長崎大学ならではの特色ある人材育成を目指さなければなりません。それは「長崎に根付く伝統的文化を継承しつつ,豊かな心を育み,地球の平和を支える科学を創造することによって,社会の調和的発展に貢献する」(長崎大学の理念)を基層に置きつつ,アジアを中心とした強固な国際的連携を視野に入れた国際協力・国際貢献のために行動することで実現します。同時に,これからの日本社会が抱える諸問題(地球環境問題や人口減少問題)の解決にも貢献しうる人材育成でなくてはなりません。
「放射線医療科学」や「新興感染症」,「環東シナ海海洋・水産科学」は現在の部局特性を反映した課題になっていますが,我々が確立すべき次世代の課題は長崎大学の総力を挙げた取り組みであるべきと考えます。本学は1年余りの年月をかけて将来の重点的研究として,新たに 9課題を採択しました。このような特色ある取り組みを全学をあげて支援していきます。

3 計画・実行・評価・改善サイクルの確立(持続的な改革)
法人化後には経営協議会に学外委員が参画するなど大学運営に第三者の意見や考え方を反映させていくことが制度として確立されました。これまで長崎大学は外部評価や教員の個人評価をいち早く取り入れることで,学内構成員の第三者評価への理解が深まっています。
また,このような作業が全学一体として実行されなければならないとの視点から,学長を本部長とする「計画・評価本部」を組織するとともに,それを支える「計画・評価室」を設置しました。しかし,現時点では年度計画の「自己点検・評価」に基づいた「法人評価」結果や,学内監事による監査結果が運営改善に十分に活かされているとは言い難い状況にあります。
法人運営の基本が「自己点検・評価」にあり,それを実行しているのが「計画・評価本部」の「各専門部会」にあることから,自己点検・評価を含め種々の評価結果を改善に結びつけていく組織として,この「各専門部会」を中心にした体制を強化します。このような運用を定着させることによって,計画→実行→評価→改善(計画)のサイクルを確立し,将来への確固たる視点を得ることが可能になるように推進していきます。

長崎大学長   齋 藤   寛