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教員の働き方について考える
教育学部:MASON SHANNON LEE准教授

「過労死」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
現在日本において過労死は、働き方を考える上でとても重要な問題です。2021年6月には、厚労省では過労死認定基準を20年ぶりに見直す動きも見られています。
「過労死ライン」 20年ぶりに見直しへ認定基準案示す 厚労省(外部リンク:NHKニュースサイト)

今回は、教員の働き方に着目した研究を行っている長崎大学教育学部のMASON SHANNON LEE准教授へインタビューを行いましたのでご紹介します。

メイソン先生

MASON SHANNON LEE准教授
人文社会科学域(教育学系)所属
専門は高等教育学,外国語教育,教育学

MASON先生へインタビュー

大学生時代、同学部の19人中17人が教員となり、卒業後は採用された学校でそれぞれが教員として働き始めました。 でも、8年後に教員を続けていたのは私を含めてたったの3人のみ、とても衝撃を受けました。 その後も、教員を続ける中で同僚が辞めてしまう事があり、どうして教員を続けることが難しいのか、どのような原因で教員を辞めるのかを知りたいと思ったことがきっかけです。 私は教員として働くことが好きです。だからこそ、次の世代を担う教員の為にも、教員の働き方に関する研究をしています。

私は、教員不足の原因や影響に関する研究を行っています。 教員が不足する原因としては、「教員になりたくない人が増えること」と「現職教員が辞めること」の2つが考えられます。 そうして、教員不足が続くと「教育の質」が落ちていきます。広い視点で見ると「教員の地位」も低下し、さらに「教員の成り手」は減少します。このような状態が続けば、「誰でも教員になれる」ような状況になりかねません。このような状態になると「教育の質」や「教員の地位」を回復することはとても難しくなります。 外国の教員不足について研究している中で、教員不足に陥り、だんだんと教育の質が落ちていく国々の様子をみてきました。 日本が同じ道を辿らないよう、外国から「日本の教育は、質が高い」と評価されている今だからこそ、働き方に関する研究が重要です。教員の現状を世間へ発信することで「教員は何のためにあるか」を、今一度見詰め直すきっかけになればと考えています。

「なぜ日本の教員は労働時間が長いのか」といった研究に繋げていきたいと考えています。できるだけ日本の教育現場の現状を知りたいので、日本の教員と直接話す機会が欲しいと思っています。 この研究は、苦労している、暗い話になりがちですが、ワークライフバランスがうまくいっている現場や教員の研究もしたいです。


論文紹介

メイソン先生が執筆された、働き方に関する論文を紹介します。ぜひご覧ください。

Japanese elementary school teachers’ professional experiences of long working hours
(日本における小学校教員の長時間労働の経験)


日本の小学校で働く教員は世界で最も長時間労働を強いられているということを、皆さんはご存知でしょうか?
教員はなぜ長時間働かなければならないのか。そして、教員は労働に対応するためにどのような手段を持ち合わせているのか?
筑波大学との共同研究から、長時間労働について考えます。

Teachers, Twitter and tackling overwork in Japan
(教師とTwitterと日本の過労死対策)


過剰労働に対して、Twitterを利用して意見を発信する人もいます。
どのようなツイートが発信され、どのような問題提言がなされているのか?
職場では意見を述べ難い状況もある中で、SNSはオープンな場であると言えます。そこでどのようなツイートが注目を集めているのでしょうか。

関連リンク

〇附属中学校における取り組み

長崎大学では、教員による研究だけでなく、附属中学校において、本学ダイバーシティ推進センターと共同で働き方の見直しを行っています。

『長崎大学ワークスタイルイノベーション』と名付けられたこの取り組みでは、「ありたい姿」を見つめ直す・ 情報を共有する・環境を整える・仕組みを変える・休める体制をつくる・仕事を開くの計6つのテーマを設定しています。詳しくは下記のPDFをご覧ください。

※このPDFファイルはR2年度に制作されたものです。

 

 

長崎大学教育学部HP

長崎大学教育学研究科HP

教育実践研究フォーラム

教育実践研究の推進と教職大学院生の資質向上を目的として、「教育実践研究フォーラムin長崎大学 2021」を11月20日(土)に開催しました。学校現場の教員はもちろん、大学生・大学院生、本学大学院教育学研究科の受験を考える学生も参加しました。教育学研究科の中でも中核となる研究会の様子を紹介します。