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東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(30)ビュルツブルグ大学との学術交流

2019年03月15日

   1895年にレントゲン博士がX線を発見したビュルツブルグ大学と長崎大学は、シーボルト博士とのご縁もあり、学術交流協定を締結し、長年にわたり医学部生や教員・研究者の交流を続けています。現在のビュルツブルグ大学には、ドイツの緊急被ばく医療対応と核医学診断治療を同時に担う素晴らしい核医学部門があります。クリストフ・ライナー前主任教授の指導によって、チェルノブイリ原発事故を教訓に整備されたドイツ国内の放射線防護と緊急被ばく医療ネットワークは、現在アンドレイ・ブック主任教授に引き継がれています。この放射線防護と安全確保のための教育研究支援体制は、国内大学病院や関係機関等を結んで活動が展開されていますが、同時に、世界保健機関WHOの緊急被ばく医療ネットワークREMPANの中心的な役割を担っています。
   本年2月、長崎大学の関係者がビュルツブルグ大学核医学部門を視察訪問しワークショップを開催しましたが、一部門だけで100名近い優秀なスタッフとともに、その陣容と関連施設の充実に驚かされました。長崎大学では、1996年のシーボルト生誕200周年記念シンポジウムや、2016年の第一回ワークショップなどに引き続き、両大学の共同研究の強化が図られ、この4月にも第三回会合が長崎大学医学部で予定されています。
   一方、福島原発事故を受け、福島県立医科大学に整備されたふくしま国際医療科学センターと原子力災害医療への対応を任されている災害医療部の2つのセンターにとっても、ビュルツブルグ大学との連携が重要となります。特に、核医学診断治療の分野では、サイクロトロン施設で創出されるアルファ線を利用した新たな分子標的放射線内用療法の将来性が期待され、今後、日独大学コンソーシアム間での連携事業が、核医学や原子力災害医療の両分野を中心として強化されようとしています。