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環境科学部長に就任して 環境科学部長 佐久間正

環境科学部長に就任して

環境科学部長 佐久間 正 環境科学部長
佐久間 正

環境科学部長を再び務めることになりました。環境科学部の充実と長崎大学の発展のために力を尽くす決意です。皆様のご鞭撻をよろしくお願いいたします。
環境科学部は環境問題が深刻化し環境に対する人々の関心が高まる中で1997年10月に創設され翌年4月から学生を迎え入れた長崎大学で最も若い学部です。学部草創期と言ってよいこの間の歩みの中で,教育研究の高度化を図り博士前・後期課程を創設するとともに,実践的な地域協力を具体化するため環境教育研究マネジメントセンター(ERMAC)を設置し,有明海に面し雲仙山麓に広がる豊かな自然を有する雲仙市と協力協定を結び,小浜温泉と雲仙温泉に学部施設を設けました。海外の大学との学術交流は本学部の重要な活動ですが,本学部が中心となり台湾の淡江大学,政治大学,中国の吉林大学,アメリカのアリゾナ大学と学術交流協定を結びました。既に本学が締結していたものに加えこれらの大学間協定を基に,淡江大学,中国の福州大学,集美大学,吉林大学,オランダのライデン大学から留学生を迎えるとともに,淡江大学,政治大学,アリゾナ大学,ライデン大学に留学生を派遣しました。また協定によるもの以外にも本学部は政府派遣留学生や私費留学生を多く迎え入れています。
環境科学部が教育研究の課題としている環境科学を含む環境学environmental studies は,20世紀後半に従来の学問・科学を批判しつつ形成されてきた新しい学問・科学です。このような環境学の研究成果を旺盛に発信し,その学問的確立に大きく寄与することは本学部に課せられた重要な使命です。現在,環境を名称の一部とする学部は増えてきましたが,文系から理系,基礎から応用に至る環境学の諸領域を包括する学部は本学部以外になく,本学部こそこのような学問的使命に最も応えられるものと確信しています。そして,環境学の知見を身に付け,人間社会の存続すら危ぶませるに至っている環境問題に立ち向かう多くの卒業生を送り出すことは,本学部の存在意義に関わる社会的使命です。
このような課題に真剣に取り組み,環境科学部を充実させていくことはまた,長崎大学をuniversity として一層発展させていくことであると確信しています。世界と日本の大きな変化の中で,学知の継承と発展を使命とする大学もそれにふさわしいあり方が求められています。長崎大学も例外ではありません。ユーラシア大陸の東辺に面し,太平洋西辺の一連の島嶼を通じて南アジアに繋がるともに,日本における学問・科学の歴史を考える上で逸することのできない地である長崎に位置する,国立大学法人にふさわしい充実と発展が,本学には期待され求められていると思います。それに応えていくためには,本学の全構成員の努力が不可欠であり,とりわけ私たち職員が認識を新たにし,不断に前進していくことこそ最も大切であると考えています。そのような職場環境を創るために尽力すること,本学を構成する部局の職員の皆さんが意欲を持って職務に取り組めるシステムを構築するために努力すること,それが私に求められている第一の責務であると自覚しています。
私は環境思想史学の研究者として特に日本環境思想史学の学問的確立に寄与することを近年の自らの課題としています。このような研究者・教育者としての活動も脇に追いやることなく緊張感を持って持続しながら,環境科学部長としての職務を果たす決意です。改めて皆様のご鞭撻を心よりお願いいたします。