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「原子爆弾災害調査票」の移管について

   原子爆弾災害調査は、故 調来助(しらべ・らいすけ)博士(第一外科教授、当時)が中心となり、被爆直後の1945年10月から12月までの3か月間に、原爆の人体への影響を調べることを目的として、数名の教官と約50人の医学生により実施されました。本調査票は当該調査結果の記録原票です。

   調査では、5778人の被災者に対して60項目にわたる聞き取りが行われました。被爆場所、防衛(遮へい)状態、外傷、熱傷に加え、急性放射線傷害でもある下痢、発熱、悪心、嘔吐、出血、口内炎、脱毛などの発症について、時期や継続期間が治療内容と共に記録されています。この調査をもとに被爆距離と死亡および急性症状との関連が分析され、「長崎に於ける原子爆弾傷害の統計的観察」としてまとめられています。

   自らも被災した非常時でありながら、患者の救護と原爆被害の科学的解明を目的とした調査を計画、実行した姿勢は、医学を志す学生にとって模範とすべきものです。この証としての当該調査票は本学医学部として貴重な遺品です。

   また、本調査で得られた情報の価値も非常に高いものです。調査対象者が5000人を超える大規模調査であること、調査時期が被災直後であること、急性放射線傷害と考えられる症状の聞き取りを医師、医学生が行っていることから、確かな情報として活用できる可能性は高いと考えています。

   以上の理由から、原爆復興70周年を機に、長崎大学からの申し出により、本調査票が公益財団法人 放射線影響研究所より本学に移管されることとなりました。

問い合わせ先:国立大学法人長崎大学
原爆後障害医療研究所資料収集保存部
095-819-7127(三根)

  
原子爆弾災害調査票の原票
 原子爆弾災害調査票の原票