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工学研究科の馬越啓介教授らの研究論文が英国王立化学会・Chemical Communications誌に掲載され,本研究成果を表す扉絵が同誌のInside back coverに採択されました

工学研究科の馬越啓介教授らの研究グループは,超分子化学的なアプローチにより,これまでで最も強いPt→Ag供与結合を持つ白金—銀錯体の合成に成功しました。

片方の原子が2個の電子を供与することにより2つの原子間で生ずる共有結合を供与結合(dative bond)と言い,一般には配位結合(coordination bond)やdipolar bondとして知られています。金属錯体における配位結合は,通常,孤立電子対を持つ配位子(様々な中性分子および陰イオン性化合物・無機イオンなど)が孤立電子対を中心金属イオンに供与することにより形成されます。しかし,配位子をうまく選択して白金(II)イオンなどの中心金属イオンの電子密度を高めると,形式的にはプラスの電荷をもつ金属イオンでも,金属イオンが持つ電子対を他の金属イオンに供与することにより金属—金属結合を形成することが可能になります。本研究では,分子内に銀イオンを取り込むための空間を持つ白金—銀錯体を設計・合成し,その錯体にさらに銀イオンを作用させることにより,Pt→Ag供与結合の生成を駆動力とした新たな白金—銀錯体の合成に成功しました。本研究で開発した白金—銀錯体は,Pt→Ag供与結合の生成と切断を可逆的に行なうことができる初めての錯体です。

論文タイトル
Reversible formation and cleavage of Pt→Ag dative bonds in a pre-organized cavity of a luminescent heteropolynuclear platinum(II) complex

リンク
本文:DOI:10.1039/C7CC03447D
Cover picture:DOI:10.1039/C7CC90232H

Inside back cover

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