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英国で開催されたワークショップに海洋未来イノベーション機構の教員が参加

   2月27日,英国アバディーン市のMarine Scotland Marine Laboratoryで開催されたJAPANESE / SCOTLAND WORKSHOP ON FUTURE OFFSHORE RENEWABLESに,海洋未来イノベーション機構の萩原篤志教授,織田洋一コーディネーター,阪倉良孝教授,松下吉樹教授が参加し,長崎における海洋再生可能エネルギー開発と研究の現状等の紹介を行いました。このワークショップでは,海洋の生物と環境の保全,そして漁村振興の立場から,自然科学と社会科学の研究者が集まって研究発表と意見交換を行いました。詳細は次のとおりです。

  このワークショップはMarine Alliance for Science and Technology for Scotland (MASTS)とMarine Renewable Energy Forum が開催したものです。MASTSはスコットランドの海洋研究に関わる15の大学と研究所がその資源や知識を共有することで海洋科学の進展を図る目的で2009年に設置された組織で,特定のトピックについて研究を推進するForumというユニットが設置されています。また,Marine Renewable Energy Forumはアバディーン大学のBeth Scott博士が議長を務めています。
   ワークショップでは最初に,MASTSのMark James教授による挨拶とMASTSの紹介が行われ,続いて萩原教授による長崎における海洋再生可能エネルギー開発と研究の現状の紹介,Ian Davis博士によるスコットランドにおける海洋再生可能エネルギー,特に風力発電に関する開発の現状が紹介されました。スコットランド政府は2050年までに再生可能エネルギーが使用するエネルギーの100%となることを目標としているとの発表があり,スコットランド政府の再生可能エネルギーの利用促進に対する意識の高さが伺えました。
   次に,日本における研究状況の紹介として,松下教授から五島沖浮体風力発電施設とその周囲の魚類生息場における魚類の滞在時間の比較に関する研究経過報告,阪倉教授から日本の養殖技術の現状と海洋再生可能エネルギーおよびそのための施設を利用した新しい養殖技術に関する展望を紹介しました。最後に,織田コーディネーターは日本全体における海洋再生可能エネルギー開発の現状をレビューし,さらに水産研究・教育機構や黒潮本流を利用した日本独自の海流発電に関する研究状況を紹介しました。
   コーヒーブレイクに続いて行われたスコットランドの研究状況の紹介では,社会科学から自然科学の幅広い分野の科学者や技術者が連携して課題に取り組んでいるものが多く見られました。
ワークショップの最後には,今後の協力・連携の可能性や共通の興味について意見交換が行われました。ここではスコットランドと日本の類似点と違いは何かという点で議論がなされ,類似点としては再生可能エネルギー開発を推進している点であり,それ以外,例えば関係者,活動状況,開発レベルなどはスコットランドが進んでいて,開発のモチベーションもスコットランドは北海油田の衰退,日本は原発離れと違いが大きいことが浮き彫りとなりました。
   まとめとして,協力・連携の次のステップは情報の共有であること,そして比較研究を行うことの重要性が話し合われ、個人ベースの交流から組織としての交流,そしてMASTSとのMOUという筋道が示されました。

英国で開催されたワークショップに海洋未来イノベーション機構の教員が参加