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福島県川内村において長崎大学・川内村/富岡町復興推進拠点の拠点報告会を行いました

   3月20日に福島県川内村において長崎大学・川内村/富岡町復興推進拠点の拠点報告会が行われ、約100名が参加しました。この報告会は平成28年度から開催され今回で3回目になるもので、本学の川内村や富岡町における復興推進拠点の活動を報告することに加え、福島の復興・発展のために活動している自治体、研究者、住民が垣根を越えて情報共有し、今後の取り組みについて話し合うことを目的としています。

   まず、セッション1では「復興から新しい地域づくりへ」と題して、原爆後障害医療研究所の宮?泰司所長を座長として、各自治体からの活動報告が行われました。川内村の遠藤雄幸村長は、「Go  Beyond!今を乗り越え、その先へ」と題して、川内村の復興の歩みから未来戦略を紹介され、富岡町の滝沢一美副町長は「東日本大震災・原発事故からの復興状況と町の現状」と題して、復興の現状から町内・町外に暮らす住民へのサポートについての報告がありました。次に本学が次年度からサテライトキャンパスを設置して「災害・被ばく医療科学共同専攻」の修士課程の学生を受け入れる予定となっている鹿児島県薩摩川内市の中村真危機管理監からは、「薩摩川内市危機管理の取り組み」と題して、原子力発電所が立地している自治体として住民を保護するためにどのような計画を立てているかについての概説がありました。

   次のセッション2では「拠点活動紹介」と題して、総合診療科の前田隆浩教授を座長として、現在本学の拠点で行っている活動の紹介が行われました。折田真紀子助教からは川内村、富岡町でのリスクコミュニケーション活動についての報告があったほか、医歯薬学総合研究科の小山善哉助教からは川内村で行った摂食嚥下ケア支援の取り組み、教育学部の星野由雅教授からは川内村の児童を対象とした復興子ども教室における長崎大学の取り組みについての報告が行われました。特に摂食嚥下ケア支援と復興子ども教室については、今年度から3年間、川内村からの寄付金によって実施されており、今後も川内村の発展のために継続して行うことが確認されました。

   最後のセッション3では「復興から発展に資する地域の取り組みと研究」と題して、原爆後障害医療研究所の松田尚樹教授と玉川大学の原田眞理教授を座長として、多彩な観点からの復興への取り組みについて紹介がありました。まず福島民報社浜通り創生局の早川正也局長からは福島第一原発事故からこれまでの報道の紹介から災害時におけるマスコミのとるべき役割についての紹介があり、富岡町において(株)ふたばを経営されている遠藤秀文代表取締役社長からは、震災を糧として新たな分野に事業を拡大して富岡町、双葉郡の発展に貢献している現状について報告がありました。福島大学環境放射能研究所の塚田祥文所長からは、特に作物における放射性セシウムの動態について、これまでの研究で明らかになってきたことについての紹介があり、原爆後障害医療研究所の平良文亨助教からは、本学拠点で行っている環境放射能測定から住民の被ばく線量評価をリスクコミュニケーションにつなげている現状についての説明がありました。最後に福島県立医科大学の村上道夫准教授からは、「幸福度」に着目し、原発事故後の避難者・帰還者を対象とした幸福度の関連要因の解析結果についての報告がありました。またセッションの合間には住民公開講座が行われ、拠点長の高村昇教授からキノコ中の放射性セシウム濃度の測定結果と放射線被ばくによる健康影響についての報告が行われました。

   最後に片峰茂・前長崎大学長、環境省放射線健康管理対策参事官室の笠松淳也参事官、そしてコスミックコーポレーションの宮田剛代表取締役社長から総評があり、今後の拠点活動に対する期待が表明されました。

   川内村・富岡町復興推進拠点は今回の様々なご意見も参考にしながら、引き続き住民と行政、そして専門家が一体となった原子力災害からの復興モデル形成に向けて尽力していきます。

集合写真