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新型コロナウイルスを約10分で検出できるウイルス遺伝子検査システムの確立と長崎県内での臨床研究の開始について

2020年03月19日

国立大学法人長崎大学(以下、長崎大学)とキヤノンメディカルシステムズ株式会社(以下、キヤノンメディカル)が共同開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)遺伝子検査システム(以下、検査システム)について、長崎県と協力して県内での臨床研究を開始することになりました。

長崎大学感染症共同研究拠点/熱帯医学研究所の安田二朗教授、吉川禄助助教らのグループは、遺伝子増幅法である蛍光LAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification)法(*1)を用いた新型コロナウイルスの検出方法を開発し、検出感度、特異性及び迅速性等の基礎的な検証と感染者から採取された臨床検体を用いた検証を行いました。その結果、臨床検体に対して15コピー以上のウイルス遺伝子を約10分で検出できることを確認致しました。また、SARSの病原体であるSARS-CoVは検出せず、高い検出特異性をもつことも確認しました。

令和2年3月14日に県内で初となる感染者が壱岐市で確認されたことを受け、県内の検査体制の強化を図る中で、本日から、まずは感染者に医療行為を行った医療従事者を対象に本検査システムを使用し、長崎大学が臨床研究を実施いたします。

現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中で脅威となっており、公衆衛生上の大きな問題として早急な対策が求められていますが、我が国の医療現場等で使用可能な迅速検査法は確立されていませんでした。今回の検査システムは、患者検体から新型コロナウイルス遺伝子を検出するまでに要する時間が、検体の前処理操作(ウイルス遺伝子の抽出)を含めても40分以内と、約4時間を要する現行のリアルタイムPCR法と比較して同程度の感度で、より短時間でウイルスの遺伝子が検出可能となります。また、本システムで用いる装置は、軽量かつコンパクトであるとともに操作性も優れており、医療現場や離島等での使用に適しているという点は強みの一つです。

なお、今回の研究では、現行のリアルタイムPCR法と同様の前処理(ウイルス遺伝子の抽出)を行いますが、開発段階において、咽頭又は鼻腔ぬぐい液を熱処理(95℃、10分)してウイルスを不活化するという極めて簡便な前処理のみでも、抽出処理したものと同等の感度・検出時間でウイルスの遺伝子を検出できることを確認していますので、今回の臨床研究で検証する予定です。本システムがより簡便で迅速な検査となるよう、安全性や操作性も含めて更なる改良に取り組みます。

本検査システムは長崎大学が助成を受けた文部科学省の科学研究費助成事業(特別研究促進費)「研究課題名:アジアに展開する感染症研究拠点を活用した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する緊急研究」(*2)及び、キヤノンメディカルが参画する日本医療研究機構(AMED)の「研究課題名:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断法開発に資する研究」(*3)により開発を進めてきたものです。本検査システムが医療現場等で広く活用されることにより、一日も早い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の制御に貢献できることを期待しています。

(*1)栄研化学株式会社が開発した核酸増幅法であるLoop-Mediated Isothermal Amplification
(LAMP法)。
(*2)文科省 ホームページ https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2020/mext_00134.html
(*3)AMED ホームページ https://www.amed.go.jp/program/list/01/06/covid-19.html

装置写真
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【本件に関する問い合わせ先】
国立大学法人 長崎大学 感染症共同研究拠点総務部門 電話 095-819-2949





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