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学長室

長崎大学ブランドのグローバル人材<長崎大学を志望する皆さんへ>

2013年01月21日

長崎大学を志望する皆さんへ


目指すところは、グローバル人材の育成

  世界のボーダーレス化が急速に進む中で東日本大震災と福島原発事故を経験した日本には、今、未来を切り拓く新しい人材が求められています。大きく変化する社会に対応し、未知の未来にむけて君たちが準備することのできる学びの環境を提供するため、長崎大学は教育を大きく変えることを決断しました。目指すところは、国際的な現場でリーダーシップを発揮することのできる人材、グローバル人材の育成です。長崎大学は、グローバル人材として活躍するために獲得してほしい4つの資質を、全学共有学士像として掲げています

4つの全学共有学士像

一、“研究者や専門職業人としての基盤的知識を有する”ひと

  長崎大学は医学、工学、教育、経済など実学系学部から構成されます。実学の蓄積により作られた長崎大学の個性・特長が、先の東日本大震災直後の支援活動で突出しました。全国の大学に先駆けて、震災発生2日後には、岩手県に長崎大学医療支援拠点の旗が立ち、3日目には支援物資を満載した水産学部練習船「長崎丸」が緊急出航しました。そして現在も、原爆ヒバク影響研究の伝統を引き継ぐ本学教員が、福島県民の被曝健康リスク管理という世界が注目する重要な役割を果たしています。これらの支援活動と、それを可能にした大学の個性は社会から高く評価されました。長崎大学の個性、それは「現場に強い大学、危機に強い大学、行動する大学」です。この伝統的個性を学び、将来それぞれの領域のエキスパートとして活躍するための基盤を身に着けてほしいのです。個々の知識や技術も大事ですが、未知の世界における新しい創造につながるそれぞれの学問領域における物事の考え方の習得に力を注いでもらいます。

二、“自ら学び、考え、主張し、行動変革する素養を有する”ひと

  創造性、自立性、チームワーク力、コミュニケーション力、批判的思考力、自己管理力など、特定の枠組みを超えてさまざまの状況の下で適用できる高次の能力を身につけてほしいのです。世界の若者に伍してがんばるために不可欠の力です。最も大切なものとして、主体的に学ぶ力があります。机の上での勉強に止まらず、自ら観察し、調べ、体験し、考え、決断し、そして実践することのできる力です。この力を育んでもらうために、長崎大学は授業の在り方を大きく変えつつあります。教員から学生への一方的な知識の伝達ではなく、学生が主体的に参加する授業、課外での自学自修につながる主体的学びへの転換です。

三、“環境や多様性の意義が認識できる”ひと

  地球環境の重要性の理解なしには、地球と人類の持続可能な未来を語ることはできません。環境教育は、環境科学部というユニークな学部を擁する長崎大学の目玉です。そして、多様性です。地球にはきわめて多様な生物が存在します。人間も各人各様ですし、民族も、文化も、宗教も多様です。多様性の尊重とその連携が21世紀のキーワードです。多様性を尊重し、異なる民族、文化、宗教がお互いを理解し連携することが、最大の課題です。異なる文化を理解するための手段が言語の共有です。世界共通言語としての英語の重要性に鑑み、長崎大学は入学から卒業までの一貫した英語教育を行います。そのために、昨年言語教育研究センターを新設して専任の英語担当教員の数を倍増しました。教室のみでは英語は上達しません。24時間アクセス可能な英語自学自習のためのICT環境も充実させました。英語においてもキーワードは君たち自身の主体的学びなのです。

四、“地球と地域社会及び将来世代に貢献する志を有する”ひと

  未来に向けた志こそが大学で獲得すべき最重要のものかもしれません。大震災直後の3月、首都圏の或る高校の校長先生は、卒業生に「君たちは、何のために大学へ行くのか?」と問いかけ、そして、一つの答えを象徴的な言葉で示しました。「海を見にいく自由を得るために」。高校まで、あるいは将来就職して家庭を持った後に比べて、大学生にははるかに多くの自分自身で管理できる自由な時間があります。例えば、頭の中で波の音が聴こえたら、海を見にいくことのできる自由です。そしてメッセージはこう続けます。「海に向かって立て。そして、自らが何者であるのか、自らの夢が何であるのかを、海に向かって問え」と。この言葉には一つの重要な真実が凝縮されています。そう、大学で学ぶ最重要の目的は、君たちが自分自身と向き合い、個性を自覚し、磨き、夢を育むことにあるのです。
 

主体は君たち自身

  長崎大学は、多様な個性が触発しあい、切磋琢磨することのできる刺激的な出会いの空間、そしてそれぞれのやり方で脱皮し、自立し、夢を育み、志を立て、準備するための豊かな時間を、君たちに全力で提供します。大事なことは、それを行う主体は君たち自身であることです。自らの頭で考え、大学が提供する新しいカリキュラムやキャンパス環境をそれぞれのやり方で活用して、個性輝くグローバル人材として成長してほしいのです。

長崎大学長
片峰 茂