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学長室

平成15年度長崎大学入学式学長 告辞

2003年04月08日

皆さん,長崎大学へようこそ。

長崎大学は第二次世界大戦が終わった1945年の4年後の1949年に新制大学として発足しました。ほかの国立大学,たとえば九州大学,佐賀大学,熊本大学などもみな同じ年に発足して,今年は国立大学創立 54年を迎えます。しかし,長崎大学はそのずっと前から存続していた長崎医科大学,長崎経済専門学校,長崎師範学校などが一緒になったのでありまして,起源は江戸時代末期にオランダ海軍軍医ポンペが長崎に医学伝習所を開設した1857年に遡ります。長崎大学はわが国で最も古い歴史を持つ国立大学の一つです。1945年8月9日の原爆被災により本学は壊滅の危機に瀕しましたが,不死鳥のごとくよみがえり,いまや,8学部(教育学,経済学,医学,歯学,薬学,工学,環境科学,水産学),医学部と歯学部の附属病院,図書館,熱帯医学研究所などが設置され,アジアをはじめ多くの国々からの留学生を含め総勢 10000人の学生が学ぶ一大総合大学に成長しました。

この長崎大学に皆さんは本日入学したのです。

わが長崎大学は「世界にとって不可欠な"知の情報発信拠点"であり続けること」を基本的な目標としています。

皆さんには,その"Active member"として,長崎大学の新しい発展に寄与してほしいと願っています。"Let's join us and go together !" です。教職員2400人,在学生8000人,そして5万人を超える卒業生が皆さんの入学を心から歓迎していることを申し述べたいのです。

皆さんも新聞などで承知していると思いますが,国立大学は来年4月に独立行政法人になります。独立行政法人とは何かの説明は,今日は省きますが,国立大学であっても,世界第一級の教育・研究を行い,人材育成・地域貢献が顕著でないかぎり,国は面倒をみきれない,というふうに要約されます。「競争的な環境のなかで個性輝く大学になること」,これが全国の国立大学に課せられた命題です。

長崎大学は個性的な大学になれるか? 答えは「イエス」です。その理由は皆さんが入学したからです。

「最近の若者はどうも・・・」と,よく耳にします。この言葉は数千年前のエジプトの日干し煉瓦に書かれているそうです。このセリフは,老人の繰り言としてはるか昔からあったのですね。皆さんは皆さんの流儀でどんどんやって下さい。若いことはやはりすばらしいのであります。皆さんの存在そのものが祝福されているのです。このような人たちが入学した長崎大学が個性的にならないわけがないと,私は信じています。

私が大学に入学したのは1956年です。同級生が大勢います。皆,同じだけ年を取って来ました。そして,いま思うことは,私自身のことはともかくとして,友人たちの人生を見ていて,なるほど,彼らしい人生だと納得できる,あるいはいい生き方をしてきたと感ずる友人は,学生時代からそのことを私に予感させるものを持っていたと,最近になって気が付きました。

それは何か? 学生時代に何か一生懸命になれるものを持っていた友人だったのです。

年長と言うだけで,皆さんに誇るべき何物もない私が言うのは気が引けるのですが,皆さんには,ぜひ長崎大学で自分が打ち込んでやりたいことを見つけてもらいたい,と思うのです。

このことは「受け身」から「自発的」へと自分を変えること,あるいは自分を「より個性的にすること」を意味します。

もちろん,皆さんがこれまで「受け身」であったというのではありません。長崎大学において「今まで以上に自分を自発的に,そして個性的にしてほしい」と願っているのです。このことが社会の長崎大学に対する評価を高めることに直結するのです。皆さんの取り組みが長崎大学から世界に向けた最も大切な「知の情報発信」の一つとなるのです。このことに努力する皆さんを長崎大学は全力をあげて支援することを約束します。

長崎大学に新しい歴史のページを書き加えてくれるに違いない皆さんの入学を歓迎します。長嶋茂雄監督風に言えば「メイク ドラマ」,ドラマとは言うまでもなく "Make New History of Nagasaki University Together" のことです。

長崎大学の将来は皆さんとともにあるのです。皆さん,入学おめでとう,そして有り難う。皆さんの活躍を期待しています。

以上をもって学長告辞とします。