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学長室

オランダ人の見た幕末の長崎 長崎大学所蔵ボードインコレクション展開会式における学長挨拶

2008年10月03日

長崎大学長の齋藤です。ひとことご挨拶を申し上げます。
ただ今,ファン・フーフェン夫人には感謝状を進呈させていただきましたが,ここに重ねて感謝の意を表します。

長崎大学では教育・研究の両面で世界トップレベルを目指し,その成果を広く社会に還元することに最大限の努力を重ねております。
その際,日本あるいは世界のなかで,「長崎,あるいは長崎大学でしかできないこと」,「長崎,あるいは長崎大学にこそ期待されていること」に取り組んできました。まさに,「長崎」ならびに「長崎大学」という個性の発現を追究し続けてきたのです。

長崎という町は西洋医学・西洋科学技術の伝来の地であり,オランダ,中国をはじめとして,世界の人々と交流する土地でした。昔から町全体が大学であり,全国から志ある若者が集まる町でした。
そのような風土のなかで幕末に写真技術が伝来し,発展してきました。現代のカメラ大国ニッポンとなるオリジンは,やはり長崎にあったのです。

長崎に生きる大学として,「古写真」に学術的価値を見いだし,収集し,研究し,その成果を社会に還元してきたのも,長崎大学でなくては出来ない,また長崎大学こそがなさねばならない取り組みでした。
その結果,ご承知のように,世界に誇る古写真のコレクションとなり,収集研究拠点となったのです。これには20年の歳月が必要でした。

先ほどの柴多一雄附属図書館長の挨拶にもありましたが,長崎大学のこれまで20年間にわたる古写真の収集の歴史のなかで,今回のボードインコレクションのご提供こそは最大の出来事であると言って過言ではありません。
昨年秋,10月31日の朝,私は出張先の金沢におりました。そこへオランダから,柴多一雄館長と姫野順一教授からの電子メールが飛び込んできました。そ こには,「ファン・フーフェン夫人がボードインコレクションの長崎大学への譲渡を承諾してくださった。」とありました。
その瞬間,私は,江戸幕末と現在との150年の時空を超えて,ボードイン先生が長崎大学創基150周年祝福のメッセージを送ってくださったと思ったのです。

昨年,長崎大学は創基150年を迎えました。ボードイン先生は,1857年に創設された日本最初の医学校である「医学伝習所」2代目校長であります。長 崎大学はこの医学伝習所を濫觴として,今日の8学部1研究所,学生数10,000人,教職員2,400人のわが国屈指の総合大学に成長してきました。
ボードイン先生はいわば長崎大学2代目学長であります。そのボードイン先生が収集された写真コレクションが,ボードイン先生のご子孫によって代々大切に 保存継承されてきて,このたびボードイン先生の4代後のご子孫,ファン・フーフェン夫人より長崎大学に譲渡していただくことになったのですから,これを長 崎大学創基150周年に対するボードイン先生のメッセージと言わずして,ほかに何があろうと存じます。

ご決断くださったフーフェン夫人には長崎大学150年の歴史と伝統の名において深く感謝申し上げます。

長崎大学はフーフェン夫人,ならびに全世界に約束いたします。「ボードインコレクションを今後も守り続け,その不滅の価値と永遠の生命を,さらなる研究と情報公開により世界に明らかにすること」を,であります。

以上を持ちまして学長挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。