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学長室

都市エリア産学官連携促進事業(発展型)キックオフ・フォーラムにおける学長挨拶

2008年12月21日

都市エリア産学官連携促進事業の発展型に,「人に優しい予防・在宅医療システムの実現を目指して」が採択され,長崎県で 産学官連携事業が展開されることはまことに喜ばしいことと存じます。平成15年度から17年度までの3年間にわたる「都市エリア産学官連携促進事業」の 「一般型事業」を終了した後の2年間,粘り強く「発展型事業」の取り組みにご尽力くださった関係の皆様に深く敬意を表します。

今回の発展型事業は,一般型事業で得られた研究成果を事業化して,長崎県における新しい産業を創出するためのステップアップであると理解しています。そ の事業内容は,まさに長崎にふさわしいものであります。長崎は,わが国の医学発祥の地であります。そして現在も,医療・福祉関連の事業は「長崎モデル」と してわが国のトップランナーであるからです。

医療人育成に関しましては,長崎県は,すでに40年も前から医学修学資金貸与事業による離島医療を担う人材を育成していました。また,4年前には長崎大 学医歯薬学総合研究科に長崎県と五島市による寄附講座「離島医療学講座」を開設し,これを拠点にした長崎大学医学部の学生教育プログラムが文部科学省の 「特色ある教育支援プログラム(教育GP)」に採択され,現在は医学,歯学,薬学など本学のすべての医療系学部学生が離島で医療実習をしています。さら に,卒業後の医療人育成事業も2件がGPに採択されるなど,長崎県,長崎大学の医療系人材の育成に関する「長崎モデル」が国内できわめて高く評価されてい ます。

医学研究では,長崎大学の2つの研究,すなわち,放射線医学研究と熱帯病・感染症研究がグローバルCOEに採択され,世界的教育研究拠点として認知され ています。また,昨年のイノベーション・ジャパンで工学部教員の提言による開発機器が医療・福祉機器部門でグランプリを獲得しました。

長崎県の医療政策は,早くから離島医療を担う人材の育成を手掛けていました。また,早くからの海上自衛隊と連携したヘリコプター,最近ではドクターヘリ による患者搬送,さらに長崎大学医学部と連携した県内の公的病院の整備など,これらの事業も「長崎モデル」として評価されています。

このような基盤の上に,このたび「人に優しい予防・在宅医療システムの実現を目指して」というタイトルで,予防・在宅医療として,肺音計,非侵襲型血糖 値計,排尿管理システム等を組み込んだ遠隔医療システムを構築する事業に取り組むことは,医療・福祉の先進県である長崎にとって,まことに時宜を得たもの であります。

この事業内容は,6年前に長崎大学の医学部と工学部が研究情報の交換会をしたことに始まったと伺っております。長崎大学は,長崎大学から始まった,この 事業を全面的に支援するとともに,さらに「ポスト都市エリア事業」に結びつく研究成果を産み出すために,オープンラボを「医工連携研究推進ラボ」として開 放いたします。

本事業の成果を活かした「長崎医療モデル」のさらなる発展充実と,この長崎の地にぞくぞくと新しい産業が創出されることを念じまして,私の挨拶といたします。