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ベトナム国立衛生疫学研究所・長崎大学 共同研究室開所式 齋藤 寛 長崎大学長 開会の辞

2006年03月17日


ベトナム社会主義共和国保健大臣Tran Thi Trung Chien閣下,ベトナム国立衛生疫学研究所 (National Institute of Hygiene and Epidemoiology, NIHE) Nyuyen Tran Hien所長はじめ多数のご来賓ご臨席の皆様,本日,日本の文部科学省の支援による「NIHEと長崎大学との新しい大型かつ長期にわたる共同研究プロジェクト」の開始を祝う式典に,このように多数のベトナム社会主義共和国と日本から多くの要人の方々にご出席いただいたことは,長崎大学にとってこの上ない光栄であります。

まず,本日ご挨拶いただきました日本側のご来賓の紹介をさせていただきます。

在ベトナム社会主義共和国日本国特命全権大使・服部則夫閣下です。閣下にはベトナムにおける新興再興感染症問題の重要性をいち早くご認識され,この地域の感染症対策をリードしてこられました。本プロジェクトの開始に当たりましても,ひとかたならぬご支援を賜りました。

衆議院議員・冨岡 勉先生です。冨岡先生は長崎大学医学部の卒業生でもあられ,かねてより日本とベトナムの友好関係の促進に多大なるご尽力をいただきました。本日は,日本・ベトナム友好議員連盟会長 武部 勤先生のご祝辞をお持ちいただいております。

文部科学省文部科学審議官・林 幸秀様です,林文部科学審議官は文部科学省の中でも特に科学技術分野の政策立案および執行をリードするお立場から,本プロジェクトの誕生に一方ならぬご尽力をいただきました。心よりお礼申し上げます。

理化学研究所感染症研究支援センター長・永井美之博士です。永井博士は,東京大学教授として長年にわたってウイルス学研究をリードしてこられ,現在は,本プロジェクトも含めた文部科学省感染症研究ネットワーク事業の総監督でいらっしゃいます。

さて,長崎は地理的に日本の最西端に位置し,古くから広くアジア地域やヨーロッパとの交易船が出入りしました。日本があらゆる外国との交易を閉ざしていた1600年から1860年までの鎖国時代においては,アジアならびに西洋の科学文化との交流の唯一の日本の窓でありました。

西洋近代医学も長崎を通して日本に初めて導入されました。1857年にオランダ海軍軍医ポンぺが日本最初の近代医学教育機関である「医学伝習所」を長崎に開設しました。そして,長崎は全国から西洋医学を学ぶため若者が集う勉学の地となりました。この「医学伝習所」が現在の長崎大学医学部ならびに長崎大学熱帯医学研究所に発展したのです。

このような地理的,歴史的な背景を持つ長崎大学は,医学研究とりわけ国際感染症研究において日本をリードしてきました。本プロジェクトの日本側の中心となる長崎大学熱帯医学研究所は,これまでもアジア,アフリカ,中南米において数々の輝かしい成果をあげてきました。

その代表例が,1986年より開始されたベトナムにおける前・熱帯医学研究所教授,五十嵐 章博士とNIHEとの共同研究です。この研究はベトナムにおける日本脳炎制圧に多大な貢献をしました。その実績が2000年より開始された日本学術振興会のベトナムとの"拠点大学方式学術交流事業"に発展し,さらに今回の文部科学省の大型研究費による,"新興・再興感染症のNIHEと長崎大学 の共同研究"に発展しました。

本プロジェクトは新しい戦略を開発し,地球規模の感染症制御を実現するものであります。NIHEにとって,長崎大学にとって,また世界の感染症の研究教育の歴史において不滅の金字塔となると確信します。このプロジェクトが,文部科学省による万全の資金的なバックアップのもとに開始できますことは,ひとえに関係各位のご助力の賜物と感謝いたします。

最後に,この様な立派な式典の準備をしていただいた,HIEN(ヒエン)所長ほかNIHE関係者の皆さん,ならびに長崎大学のスタッフに感謝の意を表して,挨拶といたします。ありがとうございました。

(H18.03.17 ベトナム社会主義共和国ハノイ市)