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学長室

平成17年度長崎大学卒業証書・学位記 及び修了証書授与式 学長告辞

2006年03月24日

本日,ここに長崎大学の8学部,1研究所の同窓会会長をご来賓としてお迎えし,平成17年度長崎大学卒業証書・学位記及び修了証書授与式を挙行できますことは長崎大学にとって何よりの喜びであります。

1,957名の卒業生・修了生の皆さん,おめでとう。本日は長崎大学150年の歴史のなかでも特筆すべき卒業式となりました。それは教育学,経済学,医学,歯学,薬学,工学,環境科学,水産学の8つの学位記授与に加えて,今回は,医学部保健学科第1回卒業の皆さんに看護学及び保健学の学位記をはじめて授与するからです。

保健学科は遡れば100年前の長崎県立長崎病院附属看護婦養成所にはじまりますが,4年制学科になったのは4年前です。教育図書も不足していて,遠くのシーボルト大学図書館まで出かけて勉強した人が少なくないことを私は知っています。しかし,皆さんは勉学にもっとも高いモチベーションを持つ人たちでした。図書館開館時間の延長をもっとも喜んでくれたのも皆さんでした。ありがとう。

39人の留学生の皆さんの卒業・修了を心から祝福します。異国に住み,日本語を習得しながらの大学での勉強は大変だったでしょう。よく頑張りました,皆さんの日頃の努力に敬服します。

また,市民の皆さまもよく留学生の生活を支えて下さいました。たとえば,ロータリー米山記念奨学会,長崎北ロータリークラブ国際交流基金,樋口ミツ奨学育英会による奨学金,長崎バス株式会社からの低廉な料金での宿舎の提供,夕方遅くなると留学生に特別割引で新鮮食品を売って下さった住吉商店街の皆様などのご好意,ご支援を忘れることはできません。長崎大学を代表いたしまして心よりお礼申し上げます。

先日,私は長崎マレーシア協会主催の「マレーシア留学生の卒業を祝う会」に出席しました。留学生のタン・チュン・ニーさんがきれいな日本語で「長崎に来て,はじめて原爆の残酷さ,恐ろしさを知った。私は帰国したら大学教員になるが,学生,友人,家族に平和の大切さと核兵器の廃絶を訴えたい」と話しました。

長崎大学は,医学部の前身の長崎医科大学,教育学部の前身の長崎師範学校が1945年8月9日の原爆に被災しました。教職員学生の犠牲者は1,000名にも及び,負傷者にいたっては数知れません。私は「生きておられたら必ずや立派なお仕事をなされたに違いない,原爆で犠牲になった先輩の分まで,よく学びよく生きる,これが教職員,学生,OB,すなわち長崎大学人の責務である」と考えています。
さきほど本学教育学部OBの種口敬明氏指揮による長崎大学管弦楽団,ならびに本学ロマンツアー合唱団が皆さんの卒業を祝って心を込めて長崎大学学歌を演奏し合唱しました。皆さんも,彼らの一生懸命さに心を打たれたことでしょう。若者の「一生懸命な姿」は見る者に希望を与え,地球に明るい未来のあることを予感させます。

若く優秀な1,957名の卒業生・修了生の皆さん,「平和を尊ぶ心」を忘れずに,今後それぞれの信ずる道を「一生懸命」に歩んでください。これが私からのはなむけの言葉です。

最後になりましたが,昨年来,本学教員による不祥事が続発したことについて,皆さんにお詫びを申し上げなければなりません。母校の名誉を傷つけ,皆さんに与えた衝撃の大きさを思うと言うべき言葉もありません。早急に,長崎大学の体制を立て直し,二度とこのような不祥事を引き起こさないことを皆さんに約束します。

長崎大学に新たなる輝かしい歴史を書き加えてくれるに違いない皆さんの前途に幸あれと祈って学長告辞といたします。

皆さん,さようなら,お元気で,またお会いしましょう。

長崎大学長   齋 藤   寛

(H18.03.24 長崎ブリックホール)