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学長室

故 松村功啓教授(前薬学部長) 薬学部葬における学長弔辞

2007年06月03日

去る平成19年4月14日,「松村功啓教授逝く」との報に接して,長崎大学は深い悲しみに沈んでおります。

松村功啓教授,あなたは招聘されて平成6年4月1日に長崎大学薬学部教授として本学に着任されました。

以来,今日までの13年間,あなたの教育研究に対する情熱と努力は,あなたの率直で,ユーモアに富み,かつ飾らないお人柄とあいまって学生・同僚・職員の敬愛を一身に集められてこられました。

私はかねてから松村教授の大学経営戦略に敬服しており,平成16年4月に留学生センター長に就任していただき「短期留学生プログラム」の設置をお願いしたのであります。

教授はあの親しみやすい笑顔を絶やさず,積極果敢に行動され,難問を一つ一つ片づけ,学内の合意を得て,「短期留学生プログラム」をあっという間に立ち上げたのであります。

以来,海外から毎年多くの志願者・入学者があり,長崎大学留学生教育のハイライトとして,全国から注目されています。また,ここから『現代「出島」発国際人育成と長崎蘭学事始』(GP)が採択されました。学内共同教育研究施設のGPは本学が最初であり,後に続く大学はまだありません。

松村教授は留学生センター長就任のちょうど1年後の平成17年4月に薬学部長に選出されました。この時,薬学部は従来の4年制薬学科1コースから6年制の薬学科,4年制の薬科学科の二つの学科への再編改組の時期であり,新カリキュラム編成,6年制の薬学科学生の6か月間の病院実習をどう手当するかなどなど,文字通り,難問が山積していました。

松村学部長は留学生センター長の時と同様に学部内外の意見を集約して,私も一緒に参りましたが,文部科学省とも無事に話し合いをすませ,平成18年4月に新薬学部を発足させました。大変な経営手腕であります。

その松村教授が忽然と逝かれてしまったのです。松村教授,あなたは長崎大学にとってかけがえのない存在でした。また,松村教授ご自身も任半ばにしての退場は,あるいは心残りであろうかと拝察します。

松村功啓教授に申し上げます。安政4年の医学伝習所をその創基とする長崎大学150年の歴史において,昭和24年の新制長崎大学設置以来58年の歴史において,さらには平成16年の国立大学法人長崎大学発足以来の歴史において,在籍した教授の数は決して少なしとしませんが,「見るべきを見,言うべきを言い,なすべきをなした教授」としては,松村教授,あなたがその最たる存在であったと私は確信します。

“Gone, but not forgotten”,「あなたは去った,しかし,忘れられることはない」の言葉を贈ります。

松村功啓教授,ご苦労様でした。長崎大学はあなたのことを決して忘れません。安らかにお眠り下さい。

長崎大学長   齋 藤   寛