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ガザ地区の人道危機に関する長崎大学声明

 被爆地にある長崎大学は、戦禍で苦しむのは誰かを国際社会に問いかけて来た。イスラエル・パレスチナ情勢でもその眼差しは、人質に取られ、攻撃やその巻き添えで命を奪われ、苦しむ一般市民に向けられている。それゆえ、人道危機の解決につなげるために、一刻も早い停戦を呼びかける。人質にとられた人々を含め一般市民を守るために、すべての当事者は国際法、特に国際人道法を遵守しなければならない。

 G7外相は11月8日、「緊急に必要な支援、一般市民の移動及び人質の解放を促進するための人道的休止及び人道回廊を支持する」との共同声明を出した。長崎大学は、ガザ地区の人道危機への対応の一歩として、この声明を歓迎する。G7諸国、国際社会は人道的休止及び人道回廊の実現を目指し速やかに行動すべきであり、さらには停戦と中東和平に向けた外交に最大限の力を注ぐべきである。

 イスラエルは核不拡散条約(NPT)に入らないまま、事実上の核保有国とみられている。そのイスラエルの閣僚が、ガザ地区への核兵器の使用を「選択肢」の一つと発言した。「長崎を最後の被爆地に」との長崎の切望と決意を踏みにじるものであり、強い憤りを覚える。

 長崎大学は、過去の「宗教や科学における非人道的な負の遺産」に学びながら、「人々が『平和』に共存する世界を実現するという積極的な意志の下に教育・研究を行う」ことを大学の「基本的目標」とし、さらにプラネタリーヘルスの実現のアプローチの一つとしてグローバルリスクの研究とその成果を社会に提言していくことを使命としている。これらを原点とし、本声明を発するものである。


2023年11月9日
国立大学法人長崎大学
学長 永安 武