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情報データ科学部「実社会課題解決プロジェクト」ITで社会課題の解決へ

 情報データ科学部では、約30社の企業や自治体と連携して「実社会課題解決プロジェクト」を実施しています。これは社会課題にIT分野からアプローチし、解決を目指すもので、情報データ科学部の特徴的な講義の一つです。1・2年生は必修科目、3・4年生は選択科目として開講しています。
 1月26日(金)に2~4年生の最終成果発表会が開催され、130名の学生が5~6名のチームを組み、計27チームが1年間試行錯誤した成果を発表しました。

 「屋台利用者購買分析in Thai」をテーマにしたチームは、屋台文化が発達しているタイに赴き、屋台利用者の意思決定の要因を探る調査と分析に取り組みました。現地のマーケットで来店客に声をかけながら回答をお願いしたものの、言葉の壁もあり、なかなか協力してもらえず、分析の材料であるデータを集めるのがどれほど大変か肌で感じたそうです。最終的に現地にあるDusit Thani大学や、長崎大学が学術交流協定を締結している泰日工業大学の学生にも協力いただき、20代を中心に196名のデータを集めることができました。その結果、7割以上がキャッシュレス決済を行っていたり、SNSなどの口コミを参考に店選びをしていたり、日本の若者とも近い実態を確認することができたとのことです。屋台利用者の消費行動は、文化の違いに関係なく年齢層が近ければ同じようなものなのかもしれません。

発表を行う情報データ科学部2年の高倉凜之良さん

 長崎県は、健康増進計画において健康寿命の延伸や運動習慣者の増加を、環境基本計画においては温室効果ガスの排出抑制などを掲げています。そして、自転車利用の促進はこれら健康増進や環境負荷の軽減などの目標達成に繋がることから、「長崎市の大学生がBY BIKEで走る街にする」をテーマにとしたチームもありました。彼らは大学生の自転車利用を促進するため、企業と連携して、アンケート調査と自転車の貸し出しを行い、生活の変化を調べました。その結果、周囲に自転車に乗っている人がいるかどうかが、大学生の自転車利用の動機に最も影響を与えていることが判明。また、自転車に乗っている人はそのメリットを感じているという結果から、自転車の貸し出しの促進や、駐輪場を整備するための補助の必要性などについて提起しました。

「長崎市の大学生がBY BIKEで走る街にする」チームの皆さん

 「教育動画の発達へ~集中を判定する表情認識AI開発~」のチームでは、コロナ禍で増加したオンライン授業に対し、学生が授業に集中できていないのではないかと感じ、表情から授業の集中度を測ることができる人工知能(AI)の開発に挑戦しました。集中度を測ることができれば、自主学習では休憩するタイミングがわかったり、教員側も学生が集中できていない時は授業の内容を改善したり、学習の質を高めることができると考えたのです。そこで、笑顔と真顔の表情の違いを認識するAIを制作しましたが、笑顔は人によってばらつきがあることから開発は困難を極め、AIに学習させる途中段階で断念し、完成には至らなかったそうです。
 発表を終えた情報データ科学部2年の中本大晴さんは、「企業の方とは毎週のようにオンラインで話をしました。ソフトウェアや画像処理などの技術的な指導はもちろん、スケジューリングを適切に行うなど、社会人として必要なスキルについて、アドバイスをいただきました。1年間目標を立てて進めていく授業は他にはないので、完成はできなかったものの、とてもよい経験になりました。」と笑顔で振り返りました。

2つの教室をオンラインで接続し、授業を行っています

 授業担当の情報データ科学部の瀬戸崎典夫准教授は、「それぞれのグループでさらに追求した方がよい点はあるものの、全体的にとてもよかった。このプロジェクトも今年で4年目になるからこそ、3・4年生のサポートがあり、これまで蓄積されたノウハウを生かして進めることができ、年々グレードアップしている。」と振り返りました。さらに、北村史(ふみと)助教から、企業や自治体の皆さまへ、学生に愛情をもって温かく接し、指導していただいたことへの感謝の言葉が述べられました。

学生にアドバイスをおくる情報データ科学部 瀬戸崎典夫准教授(左)


発表の様子をご協力いただいた企業や自治体の皆さまへオンラインで配信しました