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経済学部講義「国際関係概論」にて、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス元常勤監査役の近藤智子氏が登壇

 長崎大学経済学部では、新入生向けにグローバル人材の育成を目的とした「国際関係概論」を開講しています。グローバル社会で活躍するには何が必要なのか、政府機関、民間企業、NGOなど、国際舞台の第一線で活躍する講師陣が参加し、全15回にわたり実施されます。

  6月14日(金)には、ちふれホールディングス社外取締役の近藤智子氏(MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス元常勤監査役)が登壇し、「再保険を通して見る国際マーケットのダイナミズム」と題して講義を行いました。
  近藤氏は、保険会社にとって重要な「再保険」業務の最前線で長く活躍してきました。「再保険」とは、保険会社が自身で保有可能なリスク量を越える部分を他の保険会社や再保険会社に引き受けてもらう仕組み、誤解を恐れずに言い換えれば「保険会社のための保険」のことです。ミュンヘン再保険やスイス再保険会社など、世界の主要な再保険会社との交渉を担当してきた近藤氏は、再保険の機能や目的、再保険業界における主要プレイヤー、年間スケジュール、取引相手や市場環境に応じた交渉戦略、さらには世界同時多発テロや東日本大震災が再保険業務に与えた影響について解説しました。

講義を行う近藤智子氏

 講義終盤では、女性が直面する「ガラスの天井」を突き破ってきた自身の経験に基づき、女性活躍についても論じました。近藤氏は、女性活躍が組織や社会全体に好影響をもたらすことをデータで示し、性別にかかわらず学生たちを激励しました。講義終了後も学生たちは積極的に質問し、再保険業務の機能や女性が活躍する社会のあり方について、理解を深めました。 

以下は受講した各学生の感想です。

  再保険会社の国際的なシェアの広さに驚きました。保険会社は国内のみで活動していると思っていましたが、他国との契約があることを知りませんでした。ロンドン、バミューダ、ミュンヘン、チューリッヒ、パリなどで再保険会社が活発に活動し、国際会議も行われていることに驚きました。国際的な関わりを通じて意見交換や交渉の機会が増えることは企業にとって重要だと感じました。また、企業の経営方針が社会にも影響を与えることを実感しました。

  マネジメントに興味があるため、近藤先生の交渉術の講義が印象に残りました。「相手を知るほど交渉しやすくなる」「ライバル関係を利用した交渉」「市場関係に応じた交渉」など、実践的な内容でした。経済と再保険は分野が違っても、相手や企業の関係性、状況を見極めることの重要性は変わらないと感じました。有効な戦略を選ぶために、常に世の中の動きに目を向ける努力をしようと思います。

 女性の社会進出が目指される理由として、労働力確保、企業イメージの向上、多角的な視点の確保といったメリットがあり、さらにSDGsやESG投資、機関投資家の圧力も影響しています。法律による支援もある一方で、日本のジェンダーギャップ指数は118位と低く、改善の余地があります。今回の講義を通じて、多様な人材が活躍できる企業の重要性や、日本のジェンダーギャップの大きさを実感しましたが、社員支援制度やライフイベントに応じた制度の整備など、改善に向けた努力が進んでいることも学びました。

講義後に質問する学生の様子


(本講義は、経済学部後援会による支援を受けて開講しています。)