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長崎県初 幻のサメ「メガマウスザメ」を水産学部・山口敦子教授が調査

 長崎県では初となる対馬沖で発見されたメガマウスザメが、2月2日に長崎大学水産学部へ運ばれ、山口敦子教授による調査が行われました。メガマウスザメは生態の多くの点が未解明であることから「幻のサメ」と呼ばれ、国内でも太平洋側を中心に30例ほどしか発見例がなく、日本海側では博多湾に次いで2例目の発見となる珍しいサメです。
 山口教授は、1994年に世界で7例目、また雌としては世界初であったメガマウスザメが博多湾で発見された際、国際的な特別調査チームの一員として研究を行っており、今回が自身2度目の解剖となりました。
 今回のメガマウスザメは全長約5メートル、体重約670キログラムで、だったことから、繁殖様式の解明にも期待が寄せられています。「メガマウス」の名の通り、その口は人間の大人がすっぽりと入るほど巨大で、その幅は約80センチに及びました。口幅もさることながら、大きな舌をうまく動かすことで、口内を大きく膨らませ口の中いっぱいに大量の海水をくわえこむことができます。
 山口教授と研究員、学生らによって各部位の撮影・計測・解剖が行われました。以前に調べた個体に比べて肝臓が小さかったことから、何らかの要因で栄養状態が不良であった可能性があると山口教授は推測しています。また、メガマウスザメは骨まで非常に柔らかく、一般に私たちが使う包丁でも容易に切断できました。山口教授によると、魚体や骨が柔らかいことは軟骨魚類であるサメの特徴の一つですが、メガマウスザメは特に柔らかいということです。
 今後、山口教授はメガマウスザメの生態に関する多くの謎を解明するため、採取した胃内容物、子宮、筋肉、骨などを詳しく分析し、科学的な記録としてまとめ、報告する予定です。

巨体をクレーンで運ぶ様子 各部位の計測
メガマウス(巨大な口)の名にふさわしい大きな口