2025年07月01日
医学部医学科では、1年次を対象として、「医学英語I」の授業(2025年5月26日実施)でドキュメンタリー映画「SILENT FALLOUT」を上映し、「医と社会I」の授業(2025年5月27日実施)で、伊東英朗監督をお招きして討論会を開催しました。本授業には115名の学生が参加しました。監督の講演後には小グループで討論を行い、「必要な意識改革、日常で実践できること」について意見を交わしました。
本映画は、1951年以降、米国で繰り返し行われた大気圏内核実験に伴う放射能汚染の被害実態に迫るもので、科学的根拠をもとに立ち向かった母親たちがケネディ大統領の政策を動かし、大気圏内核実験の中止を実現させた史実を追っています。
監督は、米国の放射線研究所の研究者たちと議論する中で、核実験によって北米大陸全体に放射能汚染が広がっていた事実に対し、彼らが思わず「Oh, my god!」と声を上げたことに衝撃を受け、米国の人々にこの現実を伝えるべく映画制作を決意したと語られました。また、日本においても長崎・広島の原爆被害や福島第一原発事故にとどまらず、米国、旧ソ連、中国などによる核実験によって、放射能汚染が広範囲に及んでいるという科学的データがあることを紹介し、「これは他人事ではなく、自分たち自身の問題である」と強調されました。
将来医師を目指す学生たちに対しては、「目の前の患者さんの疾患に、もしかすると放射能汚染が関与している可能性があるという視点を、頭の片隅にでも持っていてほしい」と力強く訴えられました。
学生からは、「過去の核実験が日本にも影響を及ぼしていたという事実を初めて知った」「核兵器が依然として存在する現代社会の中で、集団の意識や価値観を変えることの難しさを感じた」といった感想が寄せられ、放射能汚染への理解と意識を深める貴重な機会となりました。
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