HOME > NEWS > 詳細

News

ここから本文です。

  • 教育・研究
  • 社会連携・貢献

ロボット制御で高校生の未来のものづくり力を育む「アプリ開発コンテスト」を開催

2025年8月7日(木)、長崎大学教育開発推進機構アドミッションセンターは、長崎県教育委員会が主催する「アプリ開発コンテスト」ロボット制御コースを共催し、文教キャンパスにて開催しました。参加したのは県内の高校から選抜された11名の高校生たち。7月30日(水)から8月1日(金)までの3日間、長崎大学教育学部の武藤浩二教授の指導のもとで準備に取り組み、自らプログラミングしたロボットを完成させました。そして7日、それぞれが工夫を凝らした制御プログラムを組み込んだロボットの“演技”を披露しました。

今回の制御プログラムの課題は、なんと「フィギュアスケート」。与えられた動作(回転や後退など)を含む“演技”をロボットにさせるという内容で、単なる制御の正確性だけでなく、全体の動きがいかに滑らかで、表現として魅力的かどうかも評価の対象となりました。高校生たちは、ロボットにスケーターさながらの演技をさせるというテーマに挑み、羽生結弦さん、宇野昌磨さん、浅田真央さん、イリア・マリニンさんらトップスケーターの演技を動画で研究。その動きを参考にしながらプログラミングを行い、「180度回転からの後退」「4回転半」「3回転半」といった必須演技をロボットに再現させました。見た目の美しさや滑らかさも求められる中で、特に角度の調整や減速のコントロールには細かな工夫が必要とされ、高校生たちは何度も試行錯誤を重ねながら制御の完成度を高めていきました。演技直前、スイッチを押す生徒たちの姿には、「うまくいきますように」と祈るような真剣な表情が見られ、会場全体に緊張感が漂っていました。


プログラム構成の発表の様子
ロボットの演技発表の様子
スケートリンクを模した黄色テープのコースをはみ出さないよう制御されたロボット


発表後は、最優秀賞・優秀賞・優良賞の表彰式が行われ、すべての参加者に修了証書が授与されました。最優秀賞に輝いた県立大村高等学校2年の田尻希美さんは、発表を振り返ってこう語りました。「練習では制御の誤差がたくさん出て心配でしたが、本番は思ったよりうまくできました。8の字走行の調整には特に苦労しました。ブレーキを使わず、滑らかに動かすことにもこだわりました」。また将来についても、「もともとプログラミングが好きで、特に画像処理に興味があります。将来はそうした分野で自分の興味を活かせる仕事に就きたいと思っています」と語り、情報分野への高い関心と意欲を見せていました。

表彰式の様子


今回のロボット制御コースの指導を担当した武藤浩二教授は、「今回の課題では、制御が正確にできているかどうかだけでなく、“演技らしく見えるか”という表現面も重視しました。発表では、滑らかな動きやバランスのとれた演技構成など、工夫が随所に見られました。情報教育の重要性は中学・高校、そして大学でもますます高まっています。今回のような取り組みを通して、高校生たちが将来の選択肢として情報分野に関心を持つきっかけになればと考えています」と本プログラムが進路選択にもつながる探究的な学びの場であることを強調しました。

今回のコンテストでは、高校生たちが自ら考え、何度も試行錯誤を重ねながら「思い通りに動かすこと」に挑戦しました。その過程には、創造力や粘り強さ、そして技術への興味が詰まっており、競技を超えた深い学びの場となりました。今後も、こうした探究的な学びの機会が、次代を担う若者たちの成長を後押ししていくことが期待されます。