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  • 教育・研究

URAの機能と役割

 2025年1月のJ-PEAKS採択を受け、長崎大学では大学全体の研究力アップを図るべく、University Research Administrator(以下 URA)の増員や、役割の充実が進められています。URAを管轄する研究開発推進機構の機構長、西田教行理事(研究・戦略企画担当)に、URAに期待される役割や機能、取り組みなどを伺いました。
(聞き手は広報戦略本部)
西田教行理事(研究・戦略企画担当)
研究開発推進機構 機構長


―J-PEAKSの取り組みの中にURAの雇用増、体制強化という目標がありますが、この目標の狙いについて、まずお聞かせください。
西田理事
 J-PEAKSは正式名を「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」というように、地方大学の研究力向上に向けた取り組みを、国が積極的にサポートする事業です。何より研究力を今以上に向上させるため、研究者をサポートする体制を充実しなければなりません。URAは研究の前段階、外部資金の獲得や産学連携の協議などのサポートを担います。また、資金獲得後の伴走支援、例えば報告書の取りまとめ、イベント企画などといったサポートもURAの仕事です。
 いずれも研究者が研究に集中できる環境を作ることが狙いです。研究に付帯する様々な手続きや申請、あるいは知財の管理や共同研究企業との事務的なコミュニケーションなどをURAが担い、長崎大学の研究力向上の一端を支えて欲しいと考えています。


―実際に、日本の研究者の研究時間が短くなっていることが、メディアでも報道されていますね。
西田理事
 狙いはそれだけではありません。例えば博士課程に進む大学院生たちのキャリアパスの拡大、つまり博士課程修了後に進む選択肢の一つとしてURAを捉え、将来的に大学のマネジメント層を担うまでに成長して欲しいという狙いもあります。マネジメント層まで?と思われるかもしれませんが、URAが期待されている役割は非常に広く、多彩です。競争的資金申請の手続き支援はもちろん、産学連携の推進や、研究のリスクマネジメント、知財の管理、ファンドレイジング等々をジョブローテーションすることで、大学全体の主要な部局を経験することになるため、将来マネジメントに携わる人材が出ることは、決してあり得ない話ではないでしょう。
 そこで、仕事をすればしただけ評価され、ステップアップする仕組みが必要と考え、今年度、URAの職階制度を新たに整備しました。その結果、博士課程からだけでなく、現在事務職で雇用されている人からも適性のある人をURAに移すことも可能になりました。人材登用の可能性が幅広くなったことも職階制度の効用だと思います。


―どのような職階ですか?
西田理事
 URAから主席URAまで4段階の階層を用意しました。雇用の段階での経験の有無や長さに応じて、いずれかの職階に位置付けられます。また、先にも触れましたが、事務職員などの未経験者、博士課程修了者も一定の基礎研究や適正評価を経てURAに任命する道を設けました。
 そして、URA任命後は、学内でのジョブローテーションや学内外の研修への参加、認定資格の取得などを通して、職階を上がっていくことになります。



―URA×CROSSという懇談会を開催されておられますが、これはどのような目的で開催されているのでしょうか。
西田理事
 URAは、組織上はひとつの集団ですが、実際には担当する研究案件や自身の担う役割に応じて、それぞれの部局などに散らばって仕事をしています。皆が揃って顔を揃える機会を意識的に持たないと、お互いに顔も名前も分からない集団になってしまいます。そこで、原則月1回ペースで開催しているのがURA×CROSSです。参加者の誰かがファシリテーターとなって、自分の担当している業務をベースに話題提供をし、課題の共有や、課題の解決策の模索、意見交換をするのが目的です。この場に参加することで自分が業務に行き詰った時、その内容に応じて誰に相談したら良いかも分かりますし、この場で全員に問題提起をすることもできます。


―参加者自身がファシリテーターを務めているとのことですが、これまでに具体的にどのようなテーマで意見交換や議論が行われたのでしょうか?
西田理事
 2025年4月に第1回を開催し、現在(2026年3月)までに計12回、開催されました。その間、例えば、「外部資金の申請書の書き方」とか「研究データ管理・利活用について」「契約の基礎」「輸出管理の基礎」などが発表されました。また、「融合研究を創出するための支援」「本学のURA育成・研修制度」「新たなファンドレイジングの取り組み」といったテーマについては特に活発に意見交換がなされたと聞いています。


―企画や運営は西田理事が担っておられるのですか?
西田理事
 いえ、最初にこのようなことをしようと提起はしましたが、現在は企画も運営もURA自身で行っています。早い段階で自走し始めたことは嬉しいことです。


―参加者はURAだけですか?
西田理事
 違います。数は少ないですが研究者も事務職員も参加しています。URAが活躍するには、URAだけが学ぶ場を持ってもダメで、研究者や事務職員も、URAの役割や機能を知り、「こういうこともURAを頼れるのか…」と知り、意識変容する必要があります。ですから多職種の参加はこれからも大歓迎です。


―実際に参加した人の感想もお教えください。
西田理事
 直接聞いたというよりも事務局に集って来た声について報告を受けたものですが、例えば「毎月URA×CROSSに行けば他所属のURAと気軽に近況報告や相談が出来るのがよい。」「着任して間もない何もわからない時期に参加し、他のURAの顔と名前、業務などを知ることができたのは非常に良かった。」といった、仲間を知る機会となったことを挙げる人や、「業務内容や頑張っている話を聞くことができ、モチベーション維持につながった。」「ファシリテーターになると発表内容の準備は大変だが、自部門の業務の振り返りの機会になるし、他部門に知ってもらえる良い機会となった。また、あまり人前で話す機会がないURAにとっては、良い経験にはなると思う。」といった自分自身の業務を見直したり、より良いものにしようという意欲を生む場にもなったりしているようで、当初の目的を果たしているように思います。


―これからのURA×CROSSに期待することをお教え下さい。
西田理事
 研究者は特に、ですが、自分のいる場所がどうしても特定の研究室になってしまいます。事務職員も担当部門のデスクにいることがほとんどです。しかし、本学のJ-PEAKS採択案件は「プラネタリーヘルスの実現」です。従来の研究領域の枠を超えて、新しい研究の芽を探し取り組むことが求められます。ですから、いつもの居場所から出ることが必要不可欠です。このURA×CROSSが、自分たちの枠組みから出て、多職種が集う場になって欲しいと思います。
 そこで、知り合った専門分野の違う先生同士が、「こんなことできないだろうか」「こういうこと出来たら面白いね」と雑談し、URAが「それならこういうサポートが出来ますよ」とか「こういう研究をしている先生もおられますよ」と紹介するなど、有機的なコミュニケーションを生み出す孵卵器のようになってくれることを期待しています。


―ありがとうございました。



参考
リサーチ・アドミニストレーター(URA)をご存じですか ~長崎大学に「認定URA」が誕生~
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/news/news3780.html
URA(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)への期待 ~本学2人目の認定URA誕生~
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/news/news4285.html
J-PEAKS推進の中でURAの果たす役割とは 本学3人目の「認定URA」資格取得者、松永英美さんに聞く
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/news/news4719.html

長崎大学HP(J-PEAKS)
https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/jpeaks/index.html
長崎大学プラネタリーヘルス特設サイト
https://www.plh.nagasaki-u.ac.jp/