HOME > 大学案内 > 東日本大震災・支援活動 > コラム > (17)安達太良山と地獄谷

東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(17)安達太良山と地獄谷

2018年08月31日

   寺田寅彦博士の有名な言葉に、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがりすぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだ」があります。私も福島原発事故後、「正しく怖がる放射能の話」をすぐに監修発刊しましたが、混乱と混迷の複合災害の中では、正しい情報を正しく伝えることは大変難しいということを実感しました。
   福島県は、広大な自然に恵まれていますが、特に中通りにある安達太良山から吾妻山、一切経山の並びは、まさに智恵子抄の中にある本物の空の下に悠然と横たわっています。安達太良山連邦の西北側にある地獄谷は、有毒ガス発生の危険があり貫走できませんが、母成高原側にある沼尻峠から登るとちょうど地獄谷全体を見下しながら周回することできます。この登山路をこよなく愛した田村市三春町出身の故田部井淳子氏は、エベレスト登頂などで有名ですが、ソ連時代からパミール高原から天山山脈を貫く7000m級の山々を踏破され、1998年にロシア連邦からスノーレオパード勲章を授与されています。その田部井氏が愛した故郷の山々は、山紫水明の日本の宝です。
   多くの人々に愛され続けている福島県の山川森林湖沼の素晴らしさを実感することが、原発被害の課題と現状を正しく理解することにもつながります。ぜひ、四季折々の福島県に足を運び、自分の目で復興に向けた取組みと、力強い自然の営みを体験してください。