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東日本大震災・支援活動

福島未来創造支援研究センター

(19)伝統的建造物の保存地区

2018年09月30日

   国指定の重要伝統的建造物群保存地区が全国に117箇所あり、福島県には、下郷町の大内宿が夙に有名です。もう一つが、会津武士の祖ゆかりの、誇り高い落人部落で、南会津町の前沢集落として保存建造物になっています。L字型の整った曲家が10数件、藁葺き屋根が美しく、毎日の農作業生活が続く山村の一画は、まるでタイムスリップしたような錯覚に陥ります。
   国道352号沿いで田島から檜枝岐へ向かう途中の舘岩地区にありますが、「そば処曲家」がその目印です。景観保存のための入場券を案内所で購入すると、そこの住人の苗字が小勝さん一色ということが分かります。そして、いわなが生息する舘岩川にかかる一般車入山禁止の橋をわたると、水車とバッタリ小屋のリズミカルな杵の音が出迎えてくれます。最初に、曲家資料館でその内部見学と歴史を学び、小村落を歩くこと10分程度で全容を垣間見ることができます。勢いよく流れる山からの沢水の冷たさと透明さに心が洗われると同時に、馬頭観音と馬力神の古びた趣には、厳しい生活環境の中で育まれた養蜂や養蚕、ソバ畑やカブ畑などと共に生きた歴史を感じることができます。
   このように日本の原風景を実体験できる前沢曲家集落ですが、少子高齢化などにより、その存亡が危ぶまれているそうです。人口減による地域社会の課題は、原発避難の状況改善も喫緊の課題ですが、ここ福島県にある多くの限界集落への多彩な取組みが、過疎地の活性化と地域再生のモデル事業になるのではと期待されます。