ホーム > 東日本大震災における支援 > 長崎大学の全支援活動 >調理事のレポート

ここから本文です。

調理事の活動レポート

調理事によるレポートです。

      

3月21日(月曜)<福島レポート>

 福島県佐藤雄平知事と面談。その後、福島県立医科大学において今後の方向性について議論。

 福島市において講演会「福島原発事故の放射線健康リスクについて」(福島テルサFTホール)を行う。 参加者は市民、避難民を含む約500名。講師:山下俊一、高村 昇、挨拶:調 漸
 先ず、高村教授が放射線障害の概要とチェルノブイリの経験を話し、次いで山下教授が現在の福島県内の放射線レベルが人体に与える影響を説明した。
 講演は合わせて一時間ほどで、お二人の穏やかな話し振りもあって、会場は説明内容に応じて時には拍手や笑いがみられるようになり、話が進むとともに会場全体に安堵感が広がるのが判る。しかし、後段の質疑になると様相は一変し、質問者が30人近く並んだ。
 「空気も水も食材も放射線が検出されて、テレビで官房長官は食べるなと言っているのに先生達は安全というが、ではどうして食べるなというのか」、「子供、妊婦はどうしたら良いのか」、「井戸水と水道水はどちらが安全なのか」、「今後、事故は収束するのか、しなかったらどうなるのか」、「情報は全部開示されているのか、知っていて隠しているのではないか」、「なぜ、距離は離れているのに大気中の放射線が高いところと低いところがあるのか」、「屋内退避地区ではないが、大気中の放射線濃度が高い中、自分はガソリンがないので2時間かけて自転車で通勤しているが大丈夫か」、保育園の方や小学校の教師からは「子供は外で遊ばせていいのか」など、健康障害、環境汚染の中での暮しへの不安や疑問、今後の事故の行方についての疑問、行政の対応への不満や怒りなどが殺到したが、それらの質問の一つ一つに丁寧に答えることによって住民が次第に納得していく姿は圧巻であった。
 最後には事故の行方や行政批判などの意見に対しては会場の住民が大声で「関係ない意見は言うな」と発言するなど、会場全体が説明に納得して一つになって行った。そして大きな拍手で終わった講演会だった。

      

3月19日(土曜)<釜石レポート>

 釜石市は人口3万9千人。しかし、この震災で人口は半分ほどに減ったのではないかと言われている。ここには県立釜石病院(272床、13診療科)ともう一つの病院が高台にあるため、津波に遭わず機能している。しかし、周辺の大槻町では、人口1万6千人に元々県立大槻病院が医師3人60床で運営され、開業医の診療所が6つ有った。しかしその全てが倒壊している。現在、病院の医師3名と開業医3名ほどが、被災者として避難所にいながら診療に当たっている。その中で3カ所を回った。県立大槻高校校舎の避難所は約1000人を収容。ここは、雑多な複数のチームが診療をしていた。医師は4、5名がいると思われた。岩手医科大の医師が2、3名、所属不明の医師が2、3名。長崎大学のDMAT永富看護師も、ここで活動していた。但し、夜間は本学の医師のみが当直をしている。弓道場避難所は市川辰樹医師が診療していた。地元の開業医で、診療所を失い、避難所に来たまま診療に従事している上田医師によると、避難所に収容されている人は300人、医師は市川君と上田医師。会議用の長机に血圧計、聴診器のみ。その上に大きく長崎大学の旗が掲げられていた。診療は外来の形で、薬は2、3日分を渡していた。元々服用している薬の内容が確認できる患者は皆無で、血圧の薬を二種類飲んでいたなどという言葉を手がかりに薬を渡す。救援物資は、一部は飽和しつつあるように見える。医療支援はコントロール機能が麻痺しているため、無秩序に雑多なチームが入っている。日赤のチームが視察に来て、医療需要を見て支援をするとのこと。


<コメント>

・全く医師がいない時期から、今は救援隊が様々なところから無秩序に入ってきている時期
・救援物資はモノによっては飽和しつつあるが、医薬品は不足。インスタントラーメンなどは飽和気味
・医師をはじめとした医療スタッフは、もうしばらく不足が続く
・ライフラインは周辺地域から回復しつつあるが、被災地周辺の避難所にはまだ来ていない
・福島の小名浜は極端に人がいないゴーストタウンに見えたが、釜石は人があふれている印象

  • 東日本大震災関連
  • ブログ 医療支援現地レポート
  • 長崎大学病院
  • 広報誌・大学紹介ムービー
  • 願書・資料請求
  • 長崎大学工事情報のご案内関連情報
  • 研究・研究者情報検索
  • 学術研究成果リポジトリ
  • 公開講座のご案内
  • 教員免許状更新講習
  • 長崎大学電子化コレクション長崎学デジタルアーカイブズ
  • やってみゅーデスク
  • ジェリーフィッシュプロジェクト
  • 長崎大学学務情報システムNU-Webシステム
  • 就職情報総合支援システムNU-Naviシステム