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第6回 中村法道氏

2015年07月23日(木曜)   19:00〜20:30(開場18:30)

「希望あふれる長崎県」づくりに向けて〜地方創生 長崎県〜

長崎創生に向け、本県の人口減少の現状を示したうえで、人口減少克服に向けた課題等を整理し、目指すべき将来像を展望。そのうえで、本県の進むべき方向や今後取り組むべき主な施策を紹介。また、本県の将来を支える若者に対し、地元に住むことの良さ、結婚・子育ての意義について語りかける。

中村法道氏写真

中村 法道
長崎県知事


昭和25年11月29日長崎県有家町(現南島原市)生まれ。昭和48年3月長崎大学経済学部を卒業後、同年4月長崎県採用。秘書課長、対馬支庁長、農林部長、総務部長、副知事を経て平成22年3月2日から現職。


《ホスト役》 片峰 茂 /長崎大学長  

講演要旨

◆こちらから2015年8月4日(火)付長崎新聞掲載紙面(PDF/4.81 MB) がご覧いただけます。

長崎で暮らし続ける選択肢を考えてもらいたい

 一九六〇年に一七六万人だった長崎県の人口は、二〇一〇年には一四三万人に減少した。六〇年には七八万人まで減るという。昨年五月、日本創成会議・人口減少問題分科会が「消滅可能性都市」を公表したが、長崎県の二一市町のうち一三市町が該当した。
 人口が減る理由は大きく二つある。一つは社会移動によるもので、ここ数年の傾向を見ると進学・就職時期の若年層を中心に年間六〇〇〇人程度の転出超過となっている。  もう一つの要因は出生数と死亡数の差による自然減。こちらも年間六〇〇〇人程度減少している。二十〜三十代の女性は、二〇一〇年までの二五年間で三〇%以上少なくなっており、将来にわたって出生数が少ない状態が続くことが確実だ。
 人口減が進むと、県民生活には交通利便性や医療・福祉サービスの低下など、さまざまな悪影響が出る。だからこそ、行政だけでなく企業や県民が一丸となって人口減少対策に取り組まなければならない。  対策は大きく二つある。一つは雇用の拡大。たとえば若年層の県外への流出に関して、「長崎県には働く場がない」という指摘をよく受ける。しかし、企業誘致や企業支援による競争力強化などに力を注いできた結果、足下の数字では、有効求人倍率は一・〇六倍に回復している。
 今後は汎用機械や造船など強みのある産業の強化を進めると同時に、世界遺産登録を機に交流人口を増やし、観光業を発展・拡大させる。こうした努力を通じて、良質の雇用の場を創出したい。一方、長崎の特性を生かした新しい産業の育成も不可欠。長崎大学が検討しているBSL−4施設の整備は、まさに感染症についての治療方法を研究開発する場であり、薬を開発する拠点にもなる。新しい産業が生まれてくる期待がある。
 もう一つの少子化対策では、妊娠・出産期から学童期以降にかけての切れ目のない子育て支援だけでなく、イベントの開催や婚活サポーターによるめぐりあいの創出など結婚支援にも踏み込んでいる。「自治体がそこまで」と思うかもしれない。しかし、我々の危機感はそれほど大きい。若い人たちが安心して地域で結婚、出産、子育てできる環境を築きたい。
 公表されている統計データを分析すると、長崎県は暮らしやすい、住みやすい地域だということが浮かび上がってくる。長崎で暮らし続けるという選択肢を県民だけでなく、是非、多くの人に真剣に考えてもらいたい。