2013年03月22日
国立大学法人長崎大学(所在地:長崎市、学長:片峰 茂、以下「長崎大」)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中好彦、以下「アステラス製薬」)は本日、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)、以下「NTDs」」(1) の治療のための抗デングウイルス薬の探索を目的とした共同研究契約を締結しましたので、お知らせします。長崎大とアステラス製薬のNTDsに関する共同研究は、2012年11月に締結した「抗寄生原虫薬のスクリーニング評価に関する共同研究契約」に次いで2例目です。
NTDsは、主に発展途上国の熱帯地域において蔓延している寄生虫や細菌、ウイルスによる感染症です。世界で10億人以上が感染していると言われ、地球規模での保健医療問題として国の枠組みを超えた取り組みが行われています。NTDsの中でも、デングウイルスにより引き起こされるデング熱/デング出血熱(2) は、未だ既存の治療薬や開発品が存在しないこと、また複数のワクチンは開発中ですが、その有効性が現時点では明確ではないことなどから、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。
本契約の下、熱帯感染症研究で国内有数の研究機関として実績のある長崎大学熱帯医学研究所(以下「熱研」)とアステラス製薬は連携して、抗デングウイルス活性を有する可能性のある複数の化合物をアステラス製薬が提供し、熱研で抗デングウイルス活性を指標に評価します。本研究は、国内でデングウイルス研究のKOL(Key Opinion Leader)として実績のある、熱研ウイルス学分野の森田 公一教授のアドバイスを受けながら進めます。
研究は大きく二段階に分かれます。第一段階(一次スクリーニング)では、in vitro(試験管内)における抗デングウイルス活性及び細胞毒活性を測定します。第二段階(二次スクリーニング)では、一次スクリーニングで選択的な抗デングウイルス活性の認められた化合物について、in vivo(生体内)におけるデングウイルス感染モデルでの薬効を測定します。
長崎大とアステラス製薬は本共同研究を通じた取り組みにより、世界でデング熱/デング出血熱により苦しむ患者さんのために早期に治療薬が生み出されるよう努め、グローバル規模の保健医療問題の改善に寄与します。
詳細・問い合わせ先については『「顧みられない熱帯病」の抗デングウイルス薬のスクリーニング評価で共同研究開始』(PDF:271KB)をご覧ください。